ZAITEN2023年001月号
結局、そのツケは国民に帰ってくる
【特集】岸田政権「原発回帰」に蠢く懲りない面々
カテゴリ:政治・国際
「もっと、電気も脱炭素」「今こそ、エネルギーミックス」―。
大手電力10社でつくる電気事業連合会(電事連)は人気女優、今田美桜を起用した2つのバージョンの新CMを盛んにテレビで流し始めた。春・夏・秋・冬それぞれのファッションに身を包んだ「4人の今田さん」が地球温暖化対策や電力の安定供給確保の重要性を訴えるという凝った仕立て。安定確保編のCMでは、政府のエネルギー基本計画で示された2030年度に原発比率20~22%を目指す電源構成目標のグラフが大写しされる。今後も原発の活用継続が必須だと視聴者に刷り込むのが狙いだ。
東京電力福島第1原発事故から11年余。長らく逼塞していた電事連がこんなお目出度いCMをおおっぴらに流せるようになったのは、首相の岸田文雄が22年夏、ウクライナ危機や脱炭素化を名目に再稼働促進と新増設解禁を柱とする「原発回帰」路線に踏み出したからだ。政府のお墨付きを得て、電力会社だけでなく、新増設を受注したい原子炉メーカーや交付金目当ての自治体など「原子力ムラ」の住人たちはこぞって息を吹き返し、さながら「原発復権」祭りの様相となっている。
岸田の裏で糸を引く首相秘書官の嶋田隆(1982年旧通商産業省、元経済産業事務次官)や経産省は、国民の税金をポケットマネーのごとく使って電力会社やメーカー、自治体に〝アメ〟をバラマキ、省益や天下り利権拡大の土壌づくりに余念がない。 社運を賭ける三菱重工 「まずは(関西電力が構想する)美浜町(福井県)での原発リプレース(建て替え)。しっかり仕上げて原子力の復活につなげたい」
三菱重工業の原子力部門幹部は、同社が22年9月末に関西、九州、北海道、四国の電力4社と共同開発すると発表したばかりの革新軽水炉「SRZ−1200」(出力120万㌔㍗級)の建設・納入に早くも気を回す。首相の岸田が「原発回帰」に舵を切ってわずか1カ月。早速、具体的なプロジェクトが動き出したのは、安全性の高い次世代原発をうたう「革新軽水炉」とは名ばかりで、技術的には三菱重工が長年手掛けてきた加圧水型原子炉(PWR)の延長線上にある原子炉に過ぎないからだ。
......続きはZAITEN1月号で。