ZAITEN2023年01月号
底が抜けた「検査不正」の元凶
三菱電機「底なしの検査不正」柵山前会長の〝強欲〟
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創業100年、スリーダイヤを冠した「老舗モノづくり企業」を謳いながら、品質を担保する検査での「底なしの不正」が発覚した三菱電機。パワハラが原因の若手社員の過労死や自殺も後を絶たず、今や「日本を代表するブラック企業」として名を馳せている。社長の漆間啓(1982年入社、早稲田大商学部卒)ら経営陣は弁護士らでつくる外部調査委員会が1年4カ月がかりでまとめた最終報告書の公表をもって問題の幕引きを図りたい考えのようだが、そうは問屋が卸さない。新たに社長、会長を歴任した柵山正樹(77年同、東大大学院工学系研究科博士課程中退)自らが課長時代に検査数値の改竄を提案・導入していたことが明らかになったからだ。
調査委は不正の原因をもっぱら「企業風土」に求め、経営責任を曖昧にしたが、柵山自らが不正に手を染めていた事実は「魚は頭から腐る」という格言を地で行くような話。過去3回も内部調査を実施しながら数値の改竄や製品テストの省略などが一向に止まなかったのも、〝ベリートップ〟が不正のルーツだったからだろう。三菱金曜会の序列5番手企業で「もともと自由で鷹揚だった」(有力OB)という社風を、行き過ぎた収益至上主義で一変させたのも柵山だ。社内では「パワハラ悲劇を急増させた元凶」(中堅幹部)とも指摘される。その裏で社長、会長時代には「業績連動報酬」を口実に年間2億円前後もの高額報酬を食んでいた。強欲経営で組織をこれほど腐らせた「超A級戦犯」の責任も徹底追及できないようでは、漆間が「膿を出し切り、再建を果たす」といくら強調しても空しく響くだけだ。
......続きはZAITEN1月号で。