ZAITEN2023年001月号
安倍晋三&葛西敬之が遺した巨大な〝負のレガシー〟
JR東海「無謀なリニア計画」は即刻中止せよ!
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2022年、リニア計画を推進したJR東海の名誉会長である葛西敬之と元首相の安倍晋三が逝去した。しかし現在も「晋三死すとも〝安倍友リニア〟は死せず」という状況が続いている。〝安倍忖度政権〟こと岸田文雄政権はリニア邁進の姿勢を強め、異議申立を続ける静岡県知事の川勝平太が立ちはだかる構図は変わらない。
JR東海と静岡県の確執を取り上げたのが〈リニア新幹線夢か、悪夢か〉と銘打った2018年8月20日の『日経ビジネス』の特集記事。〈安倍『お友だち融資』3兆円 第3の森加計問題〉〈「平成」の終焉 国鉄は2度死ぬ〉という派手な見出しの記事に登場し、怒りを露わにしたのが川勝だった。
川勝は「静岡県のせいで27年の名古屋開業が遅れる」という〝静岡悪者論〟に対しては、大井川の水問題や南アルプスの環境保全などの課題が未解決と強調、計画自体の杜撰さが遅れの原因であると反論。22年9月には、神奈川リニア新駅(橋本駅)近くに建設予定の車両基地が工期11年間なのに未着手であることを知り、「27年名古屋開業の遅れは神奈川県のせいだ」と批判、神奈川県知事の黒岩祐治と論争状態になった。
根底にあるのは、国民的議論が不十分なままのリニア計画への不信感(疑問)である。川勝は20年6月26日にJR東海社長の金子慎と面談した後の囲み取材で、「コロナ禍でリニアが成り立つのかどうか採算が取れるのか、国民の理解が必要だと考えているのか」との質問に、こう答えた。
「コロナで新幹線の利用者が激減。コロナ時代にリニアが必要かは識者の中でも『本当に必要かどうか見直せ』と疑問を呈されている」「安倍総理(当時)も会見で『オンラインを思い切り推進するのだ』と言っている。家に居ながら仕事ができるのでコロナ以前の『速く、効率的に』が成り立つのかどうか。(リニアが必要とする)もの凄い電力量は必ずしも環境の21世紀に相応しいものなのか。原発の電力で動かすビジネスモデルが成り立たなくなる。どうするのかと考える時期ではないか。膨大なお金と人力を投入して作った成果が日本のためになるのかどうか、が問われている」
......続きはZAITEN1月号で。