ZAITEN2023年01月号
安倍晋三の死去がもたらした〝ひとつの時代〟の終わり
古谷経衡 DHC「虎ノ門ニュース終了」の要因と必然
カテゴリ:事件・社会
2022年11月7日、DHCテレビの目玉番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(虎ノ門ニュース)が同18日の放送をもって終了するとの報が唐突に飛び込んできた。15年から放送を開始し、ネット右翼(ネトウヨ)界隈に絶大な影響力を誇った同番組の終了について様々な憶測が飛び交うが、直接的にはオリックスによるDHC買収が大きく影響しているとみられる。オリックスは同月11日、化粧品大手DHCを約3000億円で買収すると発表。これに伴いDHC創業者であり、会長兼社長を務める吉田嘉明は退任し、吉田をはじめとする既存株主らから全株式を取得する模様である。買収が完了すれば、『虎ノ門ニュース』を制作するDHCテレビ(正確にはDHCテレビジョン)はDHCの100%子会社なので、母体がオリックスに交代する。大企業であり企業ブランドを気にするオリックスがDHC買収にあたって「看過できないネトウヨ番組」である虎ノ門ニュースの継続は無理、という判断が働いたと思われる。いずれにせよ虎ノ門ニュースは終了するので、ネトウヨを巡る動画世界には激震が走っている。
DHCテレビの勃興
DHCテレビは1996年からCSで放送開始しており、開始当時は穏当なカルチャー番組などが寡占し、これと言った政治色や右傾的傾向はみられなかった。DHCテレビの劇的変化は15年からで、「名物社長」といわれた山田晃が同社社長に就任する(彼は22年11月現在、社長職を退任したと発表された)や、後にBPO案件を引き起こすことになる『ニュース女子』を筆頭に虎ノ門ニュース、高山正之が主要MCとなる『放言BARリークス』など極めて濃い右傾番組が乱立するに至る。
......続きはZAITEN1月号で。