ZAITEN2023年002月号
結局、自分が目立ちたいだけじゃないか
小池百合子「太陽光パネル義務化」の野心
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「太陽光パネルの新築住宅での設置を義務化したい」。東京都知事の小池百合子は、2021年9月に、この政策を突如発表した。そして22年12月から始まった都議会定例会で設置義務化を定める東京都環境確保条例の改正案が審議され、12月15日の本会議で可決、成立した。25年4月から施行される。一定規模の建物では京都市などがパネル設置を義務化しているが、新築一戸建てでは日本初の条例となる。世界でも米カリフォルニア州など実施数は少ない政策だ。
都の制度は、大手住宅販売会社が販売する新築住宅の屋根に太陽光パネルの設置を義務付けるもの。東京都では温室効果ガスの大半を占める二酸化炭素(CO2)の全体排出量のうち、3割が一般住宅(家庭部門)のエネルギー使用によるものと推定されている。住宅数(マンション等の部屋も一戸)で、東京は767万戸(18年、総務省「住宅・土地統計調査」)ある。建て替えをきっかけに太陽光を普及させることを狙う。
菅義偉政権では20年に、温室効果ガスの排出を50年までに実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を宣言したが、21年4月に当時環境大臣だった小泉進次郎が、太陽光パネル義務化を行いたいと急に打ち上げた。しかし世論の反発が強く、立ち消えになった。軽薄な小泉の断念した思いつき政策に、なぜか小池は飛びついた。
エネルギー政策の研究者であるキヤノングローバル戦略研究所研究主幹の杉山大志は、再考を求めるため、問題点を列挙した詳細な請願書を都知事宛に書いた。ところが東京都環境局長名で22年10月に返ってきた返事は次のような不真面目な内容だった。「(パンフレットに)都の見解を記載しております。ご参照ください」と書いてあり、詳細な説明を避けた。
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