ZAITEN2023年03月号
【著者インタビュー】『JR東海に君臨し続けた「アンタッチャブルの男」に迫る』森 功
カテゴリ:インタビュー
『国商 最後のフィクサー葛西敬之』
講談社/1800円+税
もり・いさお―ノンフィクション作家。岡山大学文学部卒業後、伊勢新聞社、「週刊新潮」編集部などを経て、2003年に独立。著書に『官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪』『ならずもの 井上雅博伝―ヤフーを作った男』など。18年には『悪だくみ「加計学園」の悲願を叶えた総理の欺瞞』で大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞受賞。
―本書を執筆した動機を教えてください。
本書を執筆している時点では、まさか葛西敬之氏が亡くなるとは思ってもいませんでした(2022年5月25日逝去)。
かなり体調が悪いことは聞いていて、取材に行っても断られていましたが、22年中は大丈夫だろうと思っていたので22年は、葛西氏だけでなく、安倍晋三元首相も亡くなり、まさしく青天の霹靂の連続でした。そうしたなか、安倍政権から続く長期政権の検証が必要というムードが高まっていると感じます。私は、第2次安倍政権が誕生して政権を取材するようになり、その中で葛西氏の強い影響力を感じていて、どこかでまとめて取り上げたいとずっと思っていました。
―『国商』というタイトルに込めた思いを教えてください。
国を舞台にビジネスを展開することが、葛西氏の経営者としての理念でした。世界に冠たる鉄道技術として、リニアを輸出したいという強い思いを持っていました。葛西氏が目指したのは、日本という国が世界からリスペクトされるような事業を展開すること。これに、しっくりくる言葉が『国商』でした。
―葛西氏が政財界に影響を持つようになったのは、どのような要因がありますか?
安倍氏を総理に押し上げた財界サロン「四季の会」は、当初は東大の同級生である与謝野馨氏を総理大臣にしたいという葛西氏の思いから立ち上がりました。その後、与謝野氏の推薦もあり、安倍氏の若さと保守的な思想に共感し、第1次安倍政権をバックアップし、第2次安倍政権の「1強体制」が続く中で、政治への影響力を色濃くしていきました。
......続きはZAITEN3月号で。