ZAITEN2023年03月号

誰が総裁になっても甚大リスク

黒田日銀「異次元敗戦」の断末魔

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「立つ鳥跡を濁さず」という言葉をこの男は知らないようだ。任期満了(4月8日)まであと2カ月余りと迫った日銀総裁の黒田東彦(1967年旧大蔵省、元財務官)のことである。おカネを大量に刷りまくる異次元緩和策を10年近くも続けながら、目ぼしい成果を上げられなかったばかりか、市場の混乱や財政規律の喪失など数々の「負の遺産」を放置したまま表舞台から降りようとしている。敗戦処理を次期総裁に一手に押し付けようとする姿勢は、無責任極まりない。

 日銀は昨年12月の金融政策決定会合で「市場機能の改善」を理由に異次元緩和を修正した。緩和策の柱と位置付ける長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)のターゲットである長期金利(10年もの国債利回り)の上限を0・25%から0・5%に引き上げたもので、市場では「事実上の利上げ」と受け止められた。黒田はそれまで「利上げは全く考えていない」と頑な姿勢を示していた。だが、昨秋の円暴落や、輸入物価高の助長、債券市場の機能不全など異次元緩和の弊害が一気に噴出する中、岸田文雄官邸や世論の不満が高まり、軌道修正を余儀なくされた。霞が関では「傲岸不遜で鳴らしてきたクロトン(黒田の愛称)も退任間近となり少しは殊勝になったか。内心は忸怩たる思いを抱きながらも自らの在任期間中に異次元緩和の出口に向けた地ならしをしておくべきだと考えたのなら大したものだ」(財務省OB)と評価する声も出ていた。

......続きはZAITEN3月号で。


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