ZAITEN2023年04月号
MRJの壮大な失敗の裏で〝弱者連合〟の皮算用
【特集】三菱重工の「体たらく」で熱を帯びる防衛産業再編
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「空中分解するのではないか。技術力が乏しいにもかかわらず、プライドだけは高い落ち目の〝名門企業〟に世紀のビッグプロジェクトがやり切れるとはとても思えない」
2020年10月、自衛隊の次期主力戦闘機の開発主体に三菱重工業が指名された直後から、霞が関や業界でこんな不穏な観測が飛び交った。戦前・戦中に戦艦武蔵を建造し、ゼロ戦(零式艦上戦闘機)を世に出し、戦後も潜水艦をはじめ防衛装備品の納入実績トップの三菱重工は、防衛省から見れば「最愛のパートナー」。その親密関係からの指名だったが、敵のレーダーに捕捉されにくいステルス性や高い運動性、電子戦に対応できる機能を併せ持つという桁外れに高度な戦闘機をつくる力量があるのか大いに疑問視されたからだ。そんな声を意識してか、防衛省は昨年12月、当初の「純国産開発」路線を転換。数兆円にのぼる「開発負担の抑制」を理由に、英国、イタリアとの「3国共同開発」に切り替えたが、それでも日本側の開発主体である三菱重工を巡る不安は解消されていない。
航空機メーカーとしての能力がこれほど疑われているのは、「初の日の丸ジェット機」として500億円もの公的支援まで受けて鳴り物入りで参入した「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を投げ出した前科があるからだ。
......続きはZAITEN4月号で。
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