ZAITEN2023年04月号

歪められる「大学」の在り方

【特集】防衛産業と政府に「侵食」される大学

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 大学における研究や教育、それに大学の在り方が今、大きく転換しようとしている。その原因と考えられるのが、経済安全保障に関係する法律と、昨年11月に施行された国際卓越研究大学法だ。これらの法律によって、大学が従来の所管である文部科学省ではなく、政府や他の省庁、組織によってコントロールされる場面が増えることが予想される。その先には、大学が軍事研究へと誘導される可能性もはらむ。しかも、変化の兆しはすでに現れ始めていた。

 「今、留学生が必修の実地見学をできない状況や、どの国の留学生にどの授業の参加を認めるのかといった選別が行われるようになり、現場は混乱しています」

 こう話すのは、国立大学の教員だ。外国為替及び外国貿易法(外為法)の運用についての通達が、2022年度に施行された。外為法では軍事転用の恐れがある技術の海外流出を規制しており、日本に半年以上滞在する留学生に大学が重要な技術を伝える場合、大学は経済産業大臣の許可を得なければならなくなった。出身国によって、履修が禁止される授業が出てくる可能性もある。これは経済安全保障に関する政策が、大学にもたらしている影響の一つだ。

......続きはZAITEN4月号で。

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