ZAITEN2023年05月号

月刊ゴルフ場批評67

「五島カントリークラブ」批評

カテゴリ:月刊ゴルフ場批評

五島カントリークラブ長崎県_hole-7.jpg 今回は久しぶりの九州遠征。長崎県は五島列島の福江島にある「五島カントリークラブ」だ。

 長崎市内から100㌔以上も離れた、東シナ海に点在する大小152の島々の総称が五島列島。そして、五島といえば、3月まで放送されていたNHKの連続テレビ小説『舞いあがれ!』の舞台のひとつになった場所で、ほとんどが西海国立公園に属し、朝ドラでも美しい自然が目を引いた景勝地。  

 それにしても遠い。長崎空港からプロペラ機なら30分だが、船だと高速船でも90分かかる。長崎県民でも行く機会は少ないそうで、ましてゴルフだけで訪れるという人は珍しいとのこと。

 今回はツアー会社のパックを利用し、長崎港からの船便となったわけだが、港からはジェットフォイルという高速船。航行中はほとんど水上に浮いているため、揺れずに快適だったのはいいが、甲板にも出られず、シートに座りっぱなしで物足りなかった。船旅を楽しむなら、時間はかかるがフェリー便がいいようだ。  もう一つ、高速船でネックなのが、ゴルフバックを持ち込めないこと。船賃に宅配便もかかるんじゃ、観光客ならともかく、長崎市民には厳しいよな。

 夕方、福江港に到着し、タクシーでホテルへ。夕食は五島牛の焼肉ときた。これはかなりのハイレベルだった!  翌朝、送迎バスにてコースへ。ちょっと急坂を登ったと思ったら、真っ青な海に盛り上がるように島々が浮かぶコントラスト鮮やかな光景が目に飛び込んできた。朝ドラで何度か観た絶景だ。

 この日は「火の岳コース」からのスタート。1番は緩やかに打ち下ろしていくパー4だが、フェアウエーは広々としていて、空が広く開放感いっぱいだ。乗用カートはフェアウエー乗り入れ可だが、土壌が良いせいか芝つきも上々。  打ち進むにつれて次々と海や島々が現れ、大げさに言うなら「海の上でゴルフしている」感覚だ。  曲者はグリーンと強風。グリーンはスピードがあってうねりも強く、ラインを読みにくい。無風の日はほぼ無く、木々も低めだから風の影響をモロに受ける。

 地元のメンバー氏によると「後半は別のコースやけん、面白かよ」だって。  確かに後半回ったのは「鬼岳コース」というだけあって、福江島の象徴である鬼岳が眼前に迫る丘陵タイプのレイアウト。しかも、グリーンがやっかいで、「鬼岳のグリーンは目があるけん、もっと難しかよ」(メンバー氏)ときた。  聞けば、「鬼岳コース」が1971年のオープンで、「火の岳コース」のオープンが1990年。火の岳コースの19年も前なら、グリーンの性質も異なるよなぁ。

 火の岳コースのシーサイドの絶景と、標高わずか315㍍ながら、その丸坊主の山容が強烈な印象を残す鬼岳の絶景。強風とグリーンに打ちのめされたものの、2つの異なる絶景を同時に味わえるのは何とも贅沢だ。普段は島民ゴルファーばかりだというが、観光資源としてもっと整えてはどうか。今のままでは、あまりにももったいなくないか?

●所在地 長崎県五島市下大津町1985 ●TEL. 0959-72-4526 ●開場 1971(昭和46)年10月21日 ●設計者 アウト:松山桂司、イン:(株)パスコ ●ヤーデージ 18ホール、6584ヤード(バックティ)、パー72

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