ZAITEN2023年06月号

「地銀を含む金融システムは平静を維持」は本当か?

地銀再編の起爆剤「きらやか銀行」に悩む金融庁

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「日本版シリコンバレー銀行(SVB)第1号はあの地銀か......」。市場関係者の間では地銀全99行の直近の経営指標を眺めながら、こんな物騒な観測が早くも飛び交っている。中央銀行の金融引き締めを起点に保有債券の含み損を膨らませた挙句、信用不安を招いて大量の預金流出に見舞われて「サドンデス(突然死)」したSVB同様の破綻の構図が「地銀に埋め込まれている」(外資系証券アナリスト)と見ているからだ。

 一方、金融庁や日銀幹部は腹の底で金融危機の大波が日本を襲う事態を警戒しながら、表向きは「地銀の保有債券の含み損はSVBほど膨らんでいない。預金も9割が大口預金だったSVBと異なり、地銀の場合は預金保険制度で守られた全額保護範囲内の個人による小口が6~7割を占め、定着性が強い。取り付け騒ぎが広がるような事態は考えられない」などと不安鎮静化に躍起の様子だ。

 地銀の経営を巡っては新型コロナウイルス禍に対応した国の中小企業に対する支援策「ゼロゼロ融資」に伴う利子収入増という「特需」が終了したことから嵩上げされてきた利益が剥げ落ち、再び業績不振に逆戻りすることも懸念されている。

 そんな衰弱した体力の中で、米連邦準備理事会(FRB)のように日銀も金融引き締めに転じる時が来れば、従来の外債投資だけでなく、保有する国債にも多額の含み損が発生し、SVBの二の舞になることは避けられないだろう。地銀淘汰の激流はうなりを上げて迫りつつあるようだ。

......続きはZAITEN6月号で。

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