ZAITEN2023年06月号
ナカノフドー建設「欠陥マンション訴訟」で住民激怒
カテゴリ:事件・社会
マンションの欠陥を巡る裁判で、住人にはとても承服できない判決が出た。問題の物件は、1997年に宮城県仙台市で建てられた約40戸の分譲マンションだ。
「築18年目に大規模修繕を行おうとしたところ、欠陥が見つかりました。売り主側は住民説明会を開いたのですが、その矢先に新たな欠陥が見つかった。一度は補修工事が始まりましたが、また欠陥が見つかるという繰り返しでした。管理組合が調査を依頼した業者は『設計ミスです』と言っていたし、構造計算書などの必要書類が管理組合に引き渡されていなかった。売り主側の対応は、納得できるものではありませんでした」(マンション住人)
一例を挙げると、マンションは配管等を通すために壁や床に穴を開けてスリーブ(筒状の管)を埋め込んでおくが、不必要な穴を鉄板で塞いでいた一方、必要な部分に穴がない時は、スリーブを無理矢理入れるためにコンクリートを削り、鉄筋や鉄骨を切断、強度不足に陥っていたという。
マンション管理組合は交渉で解決することができなかったため、3年後の18年9月、地元の販売会社と設計士、建設したナカノフドー建設の3者を仙台地裁に民事提訴し、民法709条の不法行為に基づく損害賠償として13億3400万円の支払いを求めた。
ナカノフドー建設は東証スタンダード上場。民間建築を主体とした中堅ゼネコンであり、22年3月期の売り上げは約960億円、社員は約1300人、東南アジアにも進出している。
裁判の中で、ナカノフドー建設は「鉄筋の切断があること」「スリット未施工の箇所があること」「竣工図における開口部が建築確認申請時の構造計算概要書と異なっていること」等は認めたものの、「基本的な安全性を損なう瑕疵があるとはいえない」と主張し、争った。
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