ZAITEN2023年06月号
【企業倫理を問う!】
酔鯨酒造 飲酒運転社長 取材過程で突然辞任表明
カテゴリ:クレーム・広報
高知県の酒造メーカ、酔鯨酒造の大倉広邦代表取締役社長が、昨年7月に酒気帯び運転で起訴され、11月に懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決を下されていたと、今年4月6日に公表した。 大倉氏は7月、取引先との会食の席で飲酒後、駐車場に停めていた自動車で約5時間の仮眠後に車を運転。呼気から基準値を超えるアルコールが検出された。
11月には高知地裁が道路交通法違反で懲役6カ月、執行猶予3年の有罪判決を下したが、事件発生から9カ月間、同社と大倉氏はこの事実を公表していなかった。 酔鯨といえば、人気の高い日本酒銘柄のひとつ。事件を起こした大倉氏は、横浜国立大学卒業後、キリンビールを経て2013年、祖父が1969年に興した酔鯨酒造に入社。16年に38歳で4代目社長に就任した。
自ら全国を回る営業行脚で、業績を回復させた大倉氏の酒気帯び運転の第一報を報じたのは、4月6日付の読売新聞で、大倉氏は「(認識が)甘かった」として、「辞任する意向」とのことだった。 だが、同日に同社が発表したプレスリリースでは、進退については「会社として対応を検討中」としており、読売新聞の報道を一部否定した。
同社広報担当の佐野氏は「酒造メーカーの社長が酒気帯び運転で有罪判決を受けたことをどう考えるか」と質した編集部の取材に対して、〈大変申し訳なく思っており、会社として誠に遺憾であると考えます〉と回答。「飲酒運転は常習化していたのではないのか」という質問には、
〈そのようなことは一切なく、車で移動しての会食の際は、必ずタクシーか代行サービスを利用しています。本件は、翌朝の都合でどうしても車での移動が必要で、会食後に駐車場の車内で仮眠したうえでの運転でしたが、本人の認識が甘かったと反省しております〉と答えた。
また、事件発生から9カ月間も一切声明を出さなかった理由は、〈大倉と外部の弁護士の判断〉と佐野氏は答えた。「弁護士が黙っていてかまわないと言ったのか」と続けると〈大倉個人のことで会社側は理由は把握していない〉という実に無責任は回答だった。
......続きはZAITEN6月号で。