ZAITEN2023年07月号
月刊ゴルフ場批評69
「房総カントリークラブ房総ゴルフ場」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
今回は千葉県・房総半島のほぼ中心に位置する「房総カントリークラブ房総ゴルフ場」だ。
2018年の第86回「日本プロ選手権」の舞台でもある。当時50歳だった谷口徹プロがプレーオフを制し、感動を呼んだのを覚えているだろうか。
その房総CC房総G場が、東コースを使用して、今度は「日本オープン」を開催するということが決定した。
だが、それを聞いた際、「えっ、それほどのコース?」と思ったのが正直な感想だ。確かに日本プロのテレビ中継では、ゼブラにカットされたフェアウエーがまばゆかったが......。
東西36ホールに加え、少し離れた場所には大上ゴルフ場を持つ、計54ホールのマンモスコース。客も常に入っている人気コースだ。広々としたフェアウエーがウリで、爽快なショットを楽しめるため、男子プロの豪快な飛距離を堪能できるコースかもしれない。
ただし、日本オープンのセッティングとなると疑問符がつく。パー3やパー5は池やクリークも絡み、戦略的といえるホールもあるが、パー4が全体的に単調で印象に残るホールが少ないのだ。
日本プロ開催時には手を入れたそうだが、その時も大幅な改造をしたわけではなく、全体的な印象は普通のクラシックな丘陵コース。いわゆる「チャンピオンコース」というイメージがないのだ。
日本オープンの開催は27年。まだ4年も先だが、開催が発表された22年から、〈日本オープン開催〉を公式サイトで謳い、コースの入口には看板が掲げられている。
コース内にも至るところで〈2027 JAPAN OPEN〉の文字を見かけPR効果は絶大。これだけ長い期間、「日本オープン開催コース」をアピールできるだけでもメリット十分、気合が入るのは当然か。
一方、同時に27年に向け、早くもバンカーリングを中心に改修工事を行っており、バンカーやグリーン周りに修理地の青杭が目立つ。そのうえ多くの工事関係車両や作業員が、プレーヤーのすぐ近くで作業するのだから、客にとってはたまらない。大げさにいえば、工事現場を縫ってプレーしている感覚。
こういう作業は極力目立たないように進める配慮が必要だし、これだけプレー不可能なエリアを同時に作ってしまうのも残念。途中からは「どうせバンカーに入れても修理地だから」と、ショットに緊張感が持てなくなった。
グリーンやフェアウエーのコンディションは申し分ないだけに、余計に後味の悪さが残る。
改修しているバンカーも、エッジを効かす現代風に改造しているようだが、コース自体は純和風な雰囲気なので、それをどうフィットさせるのか。
せっかくの人気コースなのだから、27年までうまく運用してもらいたいし、改修状況も注目していこう。
ちなみに広々としているのはいいが、打撃練習場やアプローチ練習場がハウスから少し離れているので、スタート前の準備は余裕を持って臨んでくれ。
●所在地 千葉県長生郡睦沢町妙楽寺2300 ●TEL. 0475-43-0111 ●開場 1975(昭和50)年11月 ●設計者 各務鉚二 ●ヤーデージ 東コース:18ホール、7324ヤード、パー72 西コース:18ホール、6600ヤード、パー72