ZAITEN2023年08月号
明石を誰よりも愛し、憎んだ市長の12年 〝支持母体は市民〟を貫き通した政治闘争
【インタビュー】泉房穂前明石市長 「政治はケンカだ!明石市長の12年」
カテゴリ:インタビュー
『政治はケンカだ! 明石市長の12年』
発行:講談社/¥1,800円+税
いずみ・ふさほ--1963年兵庫県明石市二見町生まれ。東京大学教育学部卒業。NHK、テレビ朝日でディレクターを務めた後、石井紘基氏の秘書を経て、1997年に弁護士資格を取得。2003年に民主党から出馬し衆議院議員に。2011年5月から2023年4月まで明石市長。
―『政治はケンカだ! 明石市長の12年』を上梓した感想をお聞かせください。
5月1日、市長を退任した翌日発売ということもあって、現職のときはだいぶ遠慮がちにしゃべっていたのが、この本ではかなり本音で何があったかを語りました。
市長はなんやかんやいっても最終責任があり、災害、事件、事故、いつ何時、何があるかわかりませんから、お酒飲んでもグデングデンに酔っ払うわけにいきませんし、海外旅行だってなかなか行けませんし、張り詰めた日々を送っていたので、まずはホッとしているのが正直なところですね。10歳の頃から明石市長になって明石を優しい街にしたかったので、やり遂げた感もありますし、今年還暦なんですけど一周り生きたような充実感もあります。明石は変わりました。一番変わったと思ってるのは市民です。市民の応援は半端なかったし、今でも駅前で見かけたら「市長さんに一言お礼が言いたかった」と、順番に並んで次々お礼です。そんな政治家ほとんどいないと言われます。政治家冥利ですよね。市民の方を向いて政治をしてきた12年間でしたから。マスコミからは叩かれまくったけど、市民は一番わかってくれた。
--「政治はケンカだ!」というタイトルの「ケンカ」とは?
タイトルは出版社が決めたので、私に「ケンカ」というキーワードがあったわけじゃないです。ただ、明石を優しくしたい、市民の誇りを取り戻したいという二つを遂げるためには、古い政治に風穴を開けていくことが必要。何らかの方針転換をすると、誰かに憎まれる。漫然とした前例主義も、市長が「必要ない、無駄だ」と言った瞬間に止めることができる。立場が変われば、毎年もらっていたお金がもらえなくなるわけですから、ケンカを売られたと思うでしょう。これまでバーターで調整しながら、グレーゾーンも含めてやってきた議員さんは特に思うところがあったでしょうね。
......続きはZAITEN8月号で。