ZAITEN2023年08月号
映画界勃興、ヤクザとの癒着、ジャニーズ帝国崩壊
【特集】芸能事務所「栄枯盛衰」今昔物語
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ここ最近、芸能界がにわかに騒がしい。ひと昔前であれば、帝国と呼ばれていたジャニーズ事務所も崩壊寸前だ。〝かゆみにムヒ〟で有名な株式会社池田模範堂は、10年以上に亘り、ジャニーズタレントを起用するのが通例であった。しかし、今回はスターダストプロモーションの俳優である〝中川大志〟を起用した。これまでダブーとされていた、故・ジャニー喜多川の性加害問題が連日のように報道されるようになったことと無関係ではないだろう。
これまで、企業やメディアと芸能界には癒着があった。その癒着の構図に地殻変動が起きている。〝もう忖度する必要はない〟企業側の本音を垣間見える機会が、今後さらに増えていくだろう。 日本で芸能に関する仕事が生まれたのは、古くは能楽や歌舞伎を起源とする。しかし、昨今の芸能界では、そうした古典芸能を担当する芸能事務所と言えば松竹芸能社だけである。ほとんどの芸能事務所は、そうした古典芸能と関係のない芸能人のプロデュースなどを担当している。
日本の芸能史について古参の映像プロデューサーに話を聞くと、「元々は、興行から始まり、映画ブームへと変遷していく」と話を始めた。そんな映画全盛期に関して、同プロデューサーは「映画全盛期の芸能事務所は、『映画5社』と言われる東映、東宝、松竹、大映、日活が有名であり、陸軍映画の東映、海軍映画の東宝、文芸物の松竹、時代劇の大映、無国籍映画の日活とそれぞれに得意分野の映画があった」と懐かしそうに振り返っていた。
また、東京松竹楽劇部出身の水の江瀧子が、日活とプロデューサー契約し、水の江は日本初の女性プロデューサーとなり、石原裕次郎ほか、長門裕之、岡田真澄、浅丘ルリ子、和泉雅子、赤木圭一郎ら数々の俳優や、中平康、蔵原惟繕といった監督を発掘・育成し日活のブームをもたらした。 他方、映画業界では「日本映画の父」と称される牧野省三から始まる牧野家が有名である。戦後間もなく設立されたマキノ芸能社などが想起されるほか、俳優・津川雅彦は、牧野の孫にあたる。彼らは近年に至るまで芸能界に多大な影響を及ぼした。
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