ZAITEN2023年08月号

集中連載【第5回】東京地検の目的地は「小さな森」ではないはずだ

上杉隆が暴く「五輪疑獄」は終わらない

カテゴリ:事件・社会

 官・産・報の癒着は、事実を覆い隠し、日本人のリテラシー(理解する能力)を無力化することに成功している。こう書くと「またマスコミ批判か」と眉をひそめる向きも多いかもしれない。だが、これはマスコミ批判ではない。国民が無自覚に洗脳された国家のシステムの現状を表現しているにすぎない。その癒着の構図は、2020東京五輪で集大成を迎えているようだ。  

 じつは、東京五輪汚職事件は終わっていない。メディア報道だけみれば、あたかも終結したかのようで、実際に、この半年間での東京五輪汚職事件の独自報道は、十指にも満たない。400億円もの税金が動いた談合事件についてなぜメディアは報じないのか?

22年11月に始まった「第2幕」

 談合事件は、『読売新聞』のスクープで第2の幕が切って落とされる。2022年11月20日付朝刊にはこんな見出しが躍った。

〈五輪事業 談合疑い テスト大会 電通など受注調整 東京地検が捜査 総額5億円〉  

 広告大手・電通など9社と1団体が落札したテスト大会の計画立案などを委託する業務の入札で、独占禁止法違反(不当な取引制限)にあたる受注調整が行われた疑いがあるとみて、特捜部が公正取引委員会と連携し捜査に乗り出したのが2つ目の事件の発端だ。  

 契約額は1件約500万~6000万円で、総額は5億円に上ると報じた。「第2幕」で特捜は何を狙っているのか。東京地検の関係者に話を聞くと、森本宏次席検事の名前が挙がった。

「バッジを捕るという彼の執念はすごい。庁内からの風当たりも強いが、どんなことがあっても悪を炙り出すという一貫した姿勢は変わらない。無理筋だと言われていたが、五輪談合疑惑も事件化した。公判を維持できるかどうか、ここからが大変だがね」  

 五輪のテスト大会は18~21年にかけて56回行われた。公取委と連携した特捜は、テスト大会の談合を独禁法違反と認定させ、事件化を狙っている。談合の時効は5年なので、仮に21年の談合が認められれば、理論上、最長で26年まで捜査が可能になる。時効が認められるまでは、ロックオンされた政治家たちは眠れないだろう。

......続きはZAITEN8月号で。

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