ZAITEN2023年09月号
【スポーツ対談】玉木正之
【スポーツ対談】玉木正之 × 小林信也「狂気の野球文化・甲子園 NHKは中継から即刻撤退せよ!」
カテゴリ:インタビュー
こばやし・のぶや―1956年新潟県長岡市生まれ。慶應義塾大学法学部卒。高校時代は新潟県立長岡高校野球部の投手として新潟県大会優勝。大学ではフリスビーの国際大会で活躍。大学在学時から『ポパイ』編集部スタッフライターをつとめ、卒業後は『ナンバー』のスタッフライターを経て独立。おもな著書に『高校野球が危ない!』(草思社)、『子どもにスポーツをさせるな』(中公新書ラクレ)、共著に『真夏の甲子園はいならい 問題だらけの高校野球』(岩波ブックレット)など多数。
玉木 4月5日に『真夏の甲子園はいらない 問題だらけの高校野球』(岩波ブックレット)と題した小林さんとの共著を出版して約3カ月半。今年もまた猛暑のなかで高校野球地方大会が幕を開け、甲子園大会も間近に迫り、テレビや新聞の大手マスメディアは相変わらずの大騒ぎを始めています。我々の声はなかなか広がりませんね(苦笑)。
小林 私は2つのことを感じています。1つは反響があるのかないのかわからないということ。多くの人が口を噤んでる。反対論も言わない。そしてもう1つは、我々が本を出したから、その影響を受けて変わったと言われるのが嫌なんだろうなということです。特に高校野球関係者の多くは、自分たちのやっていることに口出しされるのが嫌で、賛成できることがあっても反応しない。その2つが「声」が聞こえてこない理由でしょうか。
玉木 本の出版以来、毎週金曜に小生がMCを務めるネットTV『ニューズ・オプエド』で、連続10回以上、小林さんと一緒に高校野球問題を取りあげ、本誌『ZAITEN』の対談でも7回にわたって高校野球や日本のスポーツ界を蝕む問題を話し合ってきました。それぞれゲストを招き、たとえば〝ブラック部活〟に詳しい名古屋大学の内田良教授は「高校野球は文科省の進める部活改革の〝本丸〟。そこに触れないのはオカシイ」と指摘された。また成城大学の山本敦久教授は、我々の本を各高校野球部の部室に置いて「高校生自身が討論を始めるべき」と言われ、ジャーナリストの後藤逸郎さんは「経営の苦しい新聞社によるスポーツイベントの主催運営自体が限界」と、我々の主張を後押しする発言が相次ぎました。一方で、野球解説者で参院議員の青島健太氏のように、高校野球の改革は既に始まっており、甲子園大会の廃止までは必要はないと主張された方も何人かいました。
......続きはZAITEN9月号で。