ZAITEN2023年09月号
「著名人」女性社外取に緊急アンケート
【特集2】 お飾り社外取締役はいらない
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企業経営を監視する仕組みであるコーポレートガバナンス・コード(以下、コード)が発表されたのは2015年。上場企業は独立社外取締役が役割や責務を果たすことを期待しつつ、有効な活用を図るべきとされている。18年の改訂では、女性や外国人の登用による取締役の多様化が求められるようになった。さらに21年の改訂では、プライム市場上場会社については独立社外取締役を少なくとも3分の1、必要と考える場合は過半数選任することが示された。
一方、21年3月に施行された改正会社法では、上場会社に社外取締役を置くことを義務付けている。こうしたコード改訂や改正会社法によって社外取締役は急増。日本取締役協会によると、上場企業の社外取締役と独立社外取締役のべ人数は、14年の2462人から、21年には7330人と約3倍にまで増えている。
背景にあるのは、健全かつ効率的なコーポレートガバナンス=企業統治のために、社外取締役を活用した企業経営の監視が有用であるとの考え方だ。そして、コードの基本原則の第一には「上場会社は、株主の権利が実質的に確保されるよう適切な対応を行うとともに、株主がその権利を適切に行使することができる環境の整備を行うべき」とある。
日本の上場企業の株式に投資し、会社経営陣との対話や株主の権利行使などを通じて企業・株主価値の向上を目指すストラテジックキャピタル代表取締役の丸木強氏は、社外取締役に望むこととして次の点を挙げた。
「社外取締役に望むことは、一般株主の利益の保護及び向上のための活動です。平時においては、取締役会において決定、または報告される事項について『それは株主の利益になるのか』と質問し、確認していただくことです。本当にそれを実行して株主価値が向上するのか、資金を使うことであれば投資のリターンは資本コストを超えるものになるのかなどの視点が重要です」
また、会計学者として国の審議会委員を歴任し、企業組織の改革にも関わってきた青山学院大学名誉教授で大原大学院大学教授の八田進二氏は、多くの企業が社外取締役に本来の監督機能まで求めていない実態があると指摘する。
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