ZAITEN2023年09月号
月刊ゴルフ場批評71
「東京バーディクラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
今回は首都・東京のコースだ。東京といっても奥多摩に近い青梅市にある「東京バーディクラブ」を取り上げよう。 すぐそこは埼玉。圏央道ができるまでは、中央自動車道の八王子ICを下りてから下道が長く感じられたものだ。森や山も深く、クラブハウス周辺は鬱蒼とした樹木に囲まれていて、年季が入った古びたハウスが溶け込んでいる感じは悪くない。
ここはユニマットグループが運営する法人会員主体のコースとあって、一歩中に入ると一分の隙もないスタッフの対応はさすが。フロントでサインをした後、渡されたスコアカードには、コースから見渡せる秩父連山のイラストが入っていて、なかなかのセンスだが、なぜフロントで......。と訝っていたら、お客様番号が印字されている。これが精算番号というわけね。ロッカーキーはクロークで係の人が開錠してくれる仕組み。こういうの、久しぶりすぎて戸惑うな。
レストランも全体的に落ち着いた造りで、居心地がいい。同系列「千葉バーディクラブ」の、キラキラした派手な造りとは対照的だ。
このしっとりした雰囲気も、メニューが出てきて吹っ飛んだ。〈本日のおすすめ〉と大きく書かれたそれには、〈絶品スルメイカの麴漬け〉、〈ナンコツ入りつくね〉なんてメニューが並び、酒類も充実していて3ページもある。
運転手付きとかハイヤーでお迎えが来て朝から宴会、みたいな昭和の接待ゴルフが目に浮かぶ。 肝心のコースだが、用地が限られていて狭いコースが多い「東京」のゴルフ場の中では、比較的ゆったりとした造り。ティショットは伸び伸び打てるホールが多い。
アップダウンもそれほど激しくないが、距離はタップリある。難敵はこの距離と、「元気すぎる」ラフ&グリーンだ。
芝の生育が良いというか、そんなに長いわけではないのに、芝の目が詰まっていてラフの抵抗が強く、大振りすると痛い目に遭う。
グリーンも芝が強いというか、ボールマークがあまりつかないほど目が詰まっている。スピードにかかわらず、しっかり芯でヒットしないとラインに乗ってくれない剛毛グリーンだ。バーディクラブは、決してバーディが取りやすいという意味ではない。
また、ティショットやグリーンへのショットがブラインドになるホールも数カ所あるから、狙いどころはキャディに確認しなければならない。
キャディもしっかり教育されていて、当たり外れが少ない。ただ、毎ホール、ティーイングエリアに着くと、「ここは右側がすべてOBで、左の崖の下には池があります」とか、ホールの情報を教えてくれるのだが、これがホント苦手なんだよな。 「打ってはいけないエリア」ばかりを意識してしまい、かえってスイングをぎこちなくさせてしまうからだ。
ネガティブな情報は最小限にして、狙い目だけを教える。こういうレクチャーのほうが、特に接待コースにはいいと思うがな。
●所在地 東京都青梅市小曾木5-2943 ●TEL. 0428-74-5960 ●開場 1976(昭和51年)10月10日 ●設計者 ロバート・村島 ●ヤーデージ 18ホール、7181ヤード、パー72