ZAITEN2023年09月号
周囲をイエスマンで固める〝老天皇〟
クレディセゾン林野宏「焼きが回った」独裁支配
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約3600万の会員数を誇るクレジットカード大手、クレディセゾン(CS)の経営が迷走している。20年以上もトップに君臨する会長兼CEO(最高経営責任者)の林野宏(80)は「今が第3の創業期。楽天やオリックスに負けない金融ビジネスを築け」と部下に発破をかけ、今夏までに経営再建中のスルガ銀行(静岡県沼津市)との資本業務提携や、傘下のセゾン投信のビジネス拡大方針などを矢継ぎ早に打ち出した。
だが、170億円超を投じて持分法適用会社化したスルガ銀はなお不正融資問題が解決できておらず、CS株主とスルガ銀の投資用不動産ローンの借り手の双方から撤回を求める声が噴出する始末。提携劇に金融界で曰く付きのコンサルタントが関わったことから、金融庁の不信も買っている。一方、セゾン投信では「顧客本位の直販型ビジネス」を掲げたカリスマトップを追放したことに顧客が動揺し、解約の動きが止まらない。「業界の寵児を自任した林野も『傘寿』を過ぎ、焼きが回ったようだ。老兵が悪手で企業価値を棄損させる前に、身売りを考えた方がいい」(大手行幹部)。金融界ではこんな声も上がり始めている。 歓迎ムードは皆無 「不正融資問題については資本提携を結ぶ際のデューデリジェンス(資産査定)で細かく確認した。(日銀の金融政策の見直しで)金利が付く時代に移る中、銀行をグループに取り込む利点は大きい」。林野周辺筋はスルガ銀との提携の意義をこう喧伝する。CSが171億円でスルガ銀の発行済み株式総数の15・12%を取得。スルガ銀もCSに155億円を出資し4・4%の株式を持ち、相互に社外取締役を1人ずつ派遣するのが柱だ。銀行業に本格参入したいCS側と、分厚いカード顧客層にアプローチしたいスルガ銀側の思惑が一致したという。
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