ZAITEN2023年09月号

金融庁「仕組み債問題」の論功行賞者がナンバー2に昇進

カテゴリ:企業・経済

「当局にも火の粉がかかる恐れがあった仕組み債問題の幕を上手く引いた」。証券取引等監視委員会(SESC)事務局長として千葉銀行などへの行政処分勧告を取り仕切った油布志行(1989年旧大蔵省)はこう評価され、今夏の人事で金融庁ナンバー2の総合政策局長に抜擢された。  

 デリバティブ(金融派生商品)を組み込んだ仕組み債は本来、機関投資家らプロ向けの商品。にもかかわらず、地銀などは7年ほど前から高額の手数料稼ぎを目的に金融知識の乏しい素人投資家にせっせと売り込んだ結果、損失を抱えるケースが相次いだ。実は金融庁は16年10月公表の「金融行政方針」で仕組み債の問題を指摘。マスコミも「危うい投資」と盛んに報道したが、監督局証券課など現場は本格的な調査や是正に動かず、定年後の顧客が退職金を失うなど悲劇を広げた。

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