ZAITEN2023年11月号

「食料安保」で暗躍する「農水族のドン森山裕」と「薩摩閥」

【特集】日本の農業を破壊する「JAグループ」と農水族

カテゴリ:TOP_main

 新型コロナウイルス禍やウクライナ危機を奇禍として、「食料安全保障」の強化が声高に叫ばれている。最大の発信源は先の岸田文雄内閣改造・自民党役員人事で党3役の一角、総務会長に上り詰めた元農水相の森山裕をドンとする党農林族議員たちだ。  

 日本の食料自給率が38%と主要7カ国(G7)の中で最低であることなどを喧伝し、国内の農業生産を増大して食料輸入が途絶えるような有事に備える必要があると説く。一見、真っ当な話のようにも思えるが、背後には近年の農政改革の流れを覆し、あらゆる作物・畜産農家に幅広く補助金を支給する「バラマキ農政」に回帰させようとの思惑が透けて見える。森山ら農林族は予算拡大という利害でつながる農業協同組合(JA)や農林水産省との「鉄のトライアングル」を復活させ、国民的な議論もないままに多額の血税を農家に注ぎ込むゆがんだ制度づくりを進めようとしている。

別枠で食料安保補助金

「食料・農業・農村基本法の改正案を必ず来年の通常国会に提出できるようにしなければならない」。東京・永田町の自民党本部で9月13日に開かれた総務会長の就任会見で、森山は開口一番、こう語気を強めた。基本法は「農業政策の憲法」とも呼ばれる農政の根幹。ここに「食料安保」の必要性を明記することで、それを根拠に毎年の予算編成において通常の農業振興費などとは別枠で食料安保補助金を確保するなど恒久的なバラマキの仕組みを体系化しようと目論んでいる。

......続きはZAITEN11月号で。

購読のお申し込みはこちら 情報のご提供はこちら
関連記事

【特集】日本郵政 ひどすぎる「デタラメ民営化」

【特集】三菱商事「垣内―中西独裁」に忍び寄る〝因果応報〟

【特集】「ゾンビ石破政権」を弄ぶ経産省

【特集】労基署の本当の実力

【特集】武田薬品「辞めるも残るも地獄」苛烈リストラの生声

【特集】「令和のコメ騒動」で露呈した〝既得権益〟農政の破綻

【特集】武田薬品「ポスト・ウェバー」めぐる女たちの闘争

【特集】テレビ朝日「早河会長への忖度」で〝粉飾決算〟疑惑

【特集】小林製薬「紅麹サプリ問題」小林親子は辞任せよ

【特集】植田日銀「マイナス金利解除」で待つ〝異次元地獄〟