ZAITEN2023年11月号
川上道大「木原事件」で露になった日本の警察組織の〝歪み〟
カテゴリ:インタビュー
かわかみ・みちお―1947年、香川県生まれ。92年に株式会社四国タイムズ社を設立、紙面媒体「四国タイムズ」を創刊。16年に社名を日本タイムズ社に変更。
―警察庁の露木康浩長官を告発しました。
警察庁長官・露木康浩を被告発人とし、8月8日付で東京地方検察庁の山元裕史検事正に告発状を提出しました。『週刊文春』が今年7月以降報じてきた、岸田文雄政権の木原誠二官房副長官(当時)の妻の元夫・安田種雄さん(享年28)の〝怪死事件〟で、警察組織の歪みが改めて顕在化したためです。
自殺とされた事件に他殺の可能性があることが明らかになりましたが、露木長官は「法と証拠に基づき、適正に捜査、調査が行われた結果、証拠上、事件性が認められない」との見解を示し、事件に蓋をしようとしました。この発言に対し、妻の取調官だった警視庁捜査一課の佐藤誠元警部補が実名会見で告発し、「これは殺人事件」と断言したのです。私は佐藤元警部補のような使命感に溢れた警察官に共感し、告発を決意しました。
この木原事件では、木原が捜査に圧力をかけた疑惑が浮上している一方で、木原の妻の父親が元警察官で事件に深く関与しているのではないかという疑惑も囁かれています。
―告発の中身を教えてください。
立件を視野に事件に関して捜査を継続している最中にもかかわらず、露木長官は業務上知り得た秘密である事件性の有無について、「事件性が認められないと」と記者会見の場で発言しました。これは明白な職務上の秘密であり、国家公務員法第100条の「職員は職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない」の規定に明白に違反する秘密の漏洩に他なりません。
「事件性あり」と言った佐藤元警部補発言が捜査情報漏洩と言うのなら、「事件性なし」と公言した長官も同罪。結果的に犯人を逃がす事になるので犯人隠避罪に抵触し得るという論理構成です。
......続きはZAITEN11月号で。