ZAITEN2023年12月号
【対談】佐高信の賛否両論
佐高信 vs. 小沢一郎「政権交代で自民の利権政治を壊す」
カテゴリ:インタビュー
おざわ・いちろう―1942年、岩手県水沢市(現奥州市)出身。慶應義塾大学経済学部卒業。69年、日本大学大学院法学研究科在学中に衆議院議員初当選。自治大臣・国家公安委員長、内閣官房副長官、自民党幹事長、新進党党首、自由党党首、民主党代表、民主党幹事長、自由党代表等を務める。当選回数は18回。
佐高:小沢一郎さんの尊敬する原敬元首相の話から聞かせてください。
小沢:原敬先生とは同郷(岩手県盛岡市)なので、都合がついた時は命日にお墓参りしています。原先生にもう少し長生きしていただいたら昭和史も変わっただろうと思います。
佐高:原敬なんかはやっぱり覚悟していたのでしょうね。狙撃された濱口雄幸元首相を見ても軍縮を掲げていますよね。彼らは「軍拡よりも生活のほうが大事」だと主張した。
小沢:原先生亡き後は、軍部の暴走をコントロールできる政治家がいなくなってしまいました。
佐高:原敬は日本の議会政治の発達を妨げたのは「軍部と検察」だと言っていたのですよね。それは小沢さんが身をもって体験されたことではないでしょうか。
小沢:今、「軍官僚」というのは表面的には姿を消しています。しかし、行政官僚は生き残っています。国民生活のあらゆるところに官僚の手が伸びていますから、むしろ戦前よりもっと暗躍しているのではないかとさえ思っています。
佐高:法律というのは、ねじ曲げるつもりになればどこまでもねじ曲げられますよね。
小沢:全て検察の手に委ねられていますからね。検察審査委員会は格好だけで、検察のいいなりですから。アメリカみたいに陪審員が歴史的に育っているならいいが、日本ではまだまだ歴史が浅すぎます。
野党は政権を取る意欲がない
佐高:今の日本の政治は与野党のはっきりした区別がなくなってきていますよね。
小沢:人間的にも似たような人ばかりです。しかし、自民党は長きにわたり権力を握ってきた。その意味で大人の良さと狡さの両方を持っていると言えます。野党は本当の意味で権力を持ったことがないから、良い人ではあるかもしれないが、全く自民党の相手にならないのです。今の日本には理想というか、志や夢がある政治家がいません。僕はそれを一番、深刻に心配しています。
......続きはZAITEN12月号で。