ZAITEN2023年12月号
【新クレーマーズレポート】第72回
サイバーエージェント WinTicket「倫理観皆無」のギャンブル依存症CM
カテゴリ:クレーム・広報
公営ギャンブルである競輪、オートレースにかかわる事業の宣伝広告には一層高い倫理観が必要だ。そんな公営ギャンブルにかかわる事業のCMについて、疑問を呈する読者からメールが届いた。
〈動画サイトで流れる広告動画に非常に違和感がありました。
そのCMは、競輪、オートレースの車券購入サービスが利用できるアプリのもので、夜の工事現場で仕事中の2人の男性作業員が、上司から休憩に入るように伝えられたにもかかわらず「すきま〜時間に競輪したい」と声を上げながら走っていくのです。
仕事の休憩時間にもかかわらず、ギャンブルに没頭するという異常な描写は明らかに依存症を彷彿させます。私には大学生の子どもがいますが、このようなCMに触れて、ギャンブルの負の側面への理解が浅いまま熱中しないか心配になります。そもそも、アプリで手軽に車券購入できることを訴求すること自体に倫理的な問題と強い嫌悪を感じました〉(読者からのメール)
明らかにギャンブル依存症
読者からのメールで指摘されたCMは、サイバーエージェントの子会社WinTciketが運営する同名の競輪、オートレースの車券購入アプリのもの。WEBCMだけでなく、地上波でのTVCMも流れている。「俺たちのすきま時間」篇では、夜の建築現場で作業するオダギリジョーと窪塚洋介が扮する作業員2人に、現場監督が「15分休憩、弁当食え!」と声をかける。2人は「結構です」と断り、「すきま〜時間に競輪したい」と繰り返し、走って休憩所に向かい、レース中継が流れているスマホに向かって、「行けえ〜!」「きたあ〜!」と絶叫する。最後にレース映像とともに「毎日朝から深夜まで15分おきに開催!」と、いつでも車券購入が可能なことを宣伝するメッセージが流れ、オダギリと窪塚が「競輪アプリはWINTICKET」と宣伝して終わる。
ちなみにこのCMは同じ15秒尺で日中バージョンもあり、内容はほぼ同じ。そのほか、2人が長距離トラックドライバーに扮した「競輪けっこうカンタンやん」篇、「競輪めちゃめちゃカンタンやん」篇、「競輪確かに当たりそうやん」篇と複数のバージョンが制作されていて、いずれも仕事中のわずかな空き時間に車券購入に興じる姿が描かれている。
WinTicketの親会社であるサイバーエージェントは近年、ABEMAなどのウェブコンテンツに注力しているほか、主力のゲーム事業ではスマホ向けゲームアプリ「ウマ娘 プリティーダービー」がヒットした。ウマ娘は競走馬をモチーフにした育成シミュレーションゲームだが、ゲーム自体には、実際の競馬や馬券購入と連動するような賭博要素はない。
.....続きはZAITEN12月号で。