ZAITEN2023年12月号
医療現場のガンと化す「日本医師会」と「厚労省」
【特集1】診療報酬改定で「〝お坊ちゃま〟武見大臣」を操る財務省
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支持率回復どころか、国民の不興を買っただけだった岸田文雄内閣の改造。中でも不評なのが、「医師会丸抱え議員」とされる武見敬三(71)の厚生労働相への起用だ。日本医師会(日医)会長を13期25年務め「医師会のドン」の異名をとった武見太郎の三男で、1995年の参院選で初当選して以来、日医の政治団体、日本医師連盟(日医連)から多額の献金支援を受けてきた人物。折も折、来年度に診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス等報酬が同時に改定される6年に一度のトリプル改定が控える中、今年末にかけて厚労省・財務省と日医など医療界との折衝が本格化する。長年、医師会利権を享受してきた武見がその仕切り役の厚労相というのだから、公正な議論など端から期待できず、「物価高や企業の賃上げムードを口実に診療報酬を大幅アップする八百長試合が展開される」(霞が関筋)と考えるのが道理だ。ただ、実態はそう単純でもなく、財務省は武見の「泥をかぶらない」(日医幹部)というお坊ちゃま体質と、前回(19年)の参院選で最下位当選だったことに象徴される選挙に弱い事情を逆手に取って、日医が目論む診療報酬アップを阻止しようと画策している。
日医内では不評も
「今回、武見敬三参議院議員が厚労相、自見参議院議員が地方創生担当相として入閣したことは誠に喜ばしい限り」。日医第21代会長の松本吉郎は岸田内閣改造を受けてこんな歓迎コメントを発表した。武見については「厚生労働副大臣、参院自民党政策審議会長などを歴任した政策通」などとお追従を並べ立てた一方、自見については「小児科の勤務医から平成28(2016)年の参院選挙比例区で日医連推薦候補として初当選され、昨年の参議院選挙で2回目の当選を果たした」と一押しの組織内候補である点を強調。松本自身が後援会会長である点も挙げて「自見大臣は常に現場での経験に沿った対応に医療者をはじめ支援者から寄せられる信頼は誠に大きい」などと絶賛した。
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