ZAITEN2023年12月号
ネスレ日本元社長、ビッグモーター会見運営コンサル……
【特集2】「どの口が言うか」ジャニーズ批判者の正体
カテゴリ:事件・社会
ジャニーズ事務所創業者・ジャニー喜多川(本名・喜多川擴)の性加害問題が終わりの見えない拡大を続けるなか、同事務所のタレントたちを広告に起用してきた大企業各社も、遅まきながら自らの責任に向き合い始めたようだ。キリンホールディングスやアサヒグループホールディングス、日本航空や日本マクドナルドなど、これまでジャニーズタレントを積極的に起用してきた各社が、10月までに雪崩を打ったようにCMへの起用打ち切りを発表したのである。
そうした状況にあって、ある経済人の発言が称賛を浴びている。1983年にネスレ日本に入社すると、30歳で同社の史上最年少部長になるなど早くから幹部社員として活躍、グループ子会社ネスレコンフェクショナリー(2010年1月1日付で親会社ネスレ日本に統合)の社長を経て、10年からネスレ日本の代表取締役社長兼CEOを務めた高岡浩三氏だ。
20年にネスレ日本社長を退任してからは、ケイアンドカンパニーという会社を設立し、様々な企業・団体にイノベーション創出のアドバイスを行う「ビジネスプロデューサー」業を行っているほか、サイバーエージェントの社外取締役という肩書も持っている。
その高岡氏がジャニーズ問題について言及を始めたのは、今年9月11日、自身のFacebookアカウントで行った次の投稿からだった。
〈私は、ネスレのガバナンスとコンプライアンス規定の観点から、キットカットと言えども1度もジャニーズのタレントをCMや販促に起用しなかった。(中略)今更、ジャニーズ事務所のタレントと契約しないという大手クライアントこそ、この手の問題を知っていたはずだし、知らなかったとしたら恥ずべきことだ〉
この投稿以来、高岡氏はジャニーズタレントを起用することの倫理的問題を自覚しえた、日本における数少ない経済人として一躍脚光を浴び、ネスレの主力商品「ネスカフェ」のキャッチコピーをなぞって「違いがわかる男」だとして、メディアから引っ張りだことなった。
高岡氏に取材したメディアのひとつである『週刊現代』(講談社)のインタビューでは、 〈グローバルの常識では、噂の段階でもNGです〉 〈どの企業も口では「コンプライアンスだ」「ガバナンスだ」「人権問題だ」と言っていますが、結局売り上げ至上主義なんです。売り上げを落としてまでこうした問題に取り込む覚悟はありません〉
とも語っているが、いずれも本質を突いた批判であり、同様の趣旨からジャニーズと癒着する企業を以前から批判してきた本誌としても深く首肯こそすれ、文句などあろうはずもない発言だ。「さすがグローバル企業の代表になる人は違う」とSNSで称賛を浴びているのも宜なるかな、である。
......続きはZAITEN12月号で。