ZAITEN2023年12月号

需要低迷でオフィス街「ゴーストタウン化」

三菱地所〝令和版バベルの塔〟建設の誤算

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 旧約聖書『創世記』に登場する「バベルの塔」。人間の傲慢さに警鐘を鳴らす一節として知られるが、〝令和のバベルの塔〟と呼ばれる巨大建築が2028年春に誕生する。去る9月27日、三菱地所は東京都千代田区大手町の常盤橋地区に建設する超高層ビル「トーチタワー」(B棟)の着工式を行った。地上62階地下4階建て、高さ約390㍍で、完成すれば日本一のノッポビルになり、延べ床面積は55万3000平方㍍と東京ドーム約12個分の広さを持つ。  

 巨大さは群を抜く。「三菱村」のランドマークである丸ビル(千代田区丸の内、地上37階地下4階、約180㍍、約16万平方㍍)と比べると、高さは2・2倍、延べ床は3・5倍弱にもなる。  

 トーチタワー建設に必要な鉄骨は推計16万㌧。国内全体の建築用鉄骨需要は400万㌧弱(23年度見通し)であり、単体ビルの使用量としてはまさに「破格」のスケールなのだ。  

 業界関係者によると、三菱地所は総工費1500億円程度でゼネコンにオファーを出したが、「工事原価の段階で2000億円を軽く突破してしまう」と大手クラスも次々に逃げ出したという。結局、清水建設が逃げ切れず「赤字必至の〝猫跨ぎ〟案件」(業界関係者)を渋々受注したとされる。

加速する大企業の本社移転

「バベルの塔」という陰口の理由はそれだけではない。新型コロナウイルスのパンデミック以降、在宅勤務やテレワークが急ピッチで普及し、ワークスタイルの見直しが世界で進行している。  

 米国ではニューヨークやヒューストンなど主要10都市で、今年6月時点のオフィスワーカーの平均出社比率は50・4%(対20年2月比、米キャッスル・システムズ社調べ)。23年4〜6月期のオフィス空室率(米CBRE調べ)はニューヨーク・マンハッタンで18・5%、サンフランシスコで31・6%と歴史的高水準に跳ね上がり、ソフトバンクグループ系の米シェアオフィス大手ウィーワークは赤字続きで8月に「継続企業の前提(ゴーイング・コンサーン)に重大な疑義が生じている」との開示を余儀なくされている。

......続きはZAITEN12月号で。

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