ZAITEN2023年12月号
150周年に向け部数増の掛け声虚しく
読売新聞「販売店の惨状浮き彫り」ジリ貧の現在地
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「関東にある読売新聞の販売店で経営権の返上が相次いでいます。これまでになかったほどの廃業ラッシュが起きている状況です」
こう話すのは、読売新聞の事情をよく知る関係者。読売新聞の販売店であるYC=読売センターの経営権返上により、店主交代が相次いでいることが、新聞業界内で話題になっている。
改めて言うまでもなく、新聞の発行部数は深刻なレベルでの減少を続けている。日本新聞協会によると、一般紙とスポーツ紙を合わせた発行部数は、2000年の5370万部をから年々減少し、22年には3084万部と、4割以上も落ち込んだ。しかも、ここ5年間は毎年200万部以上減少している。このままのペースでいけば、単純計算すると15年ほどで紙の新聞がほぼ消滅する。
業界トップの発行部数を誇る読売新聞も、大幅な部数減を余儀なくされている。読売新聞のホームページには、グループ本社代表取締役主筆で現在97歳の渡辺恒雄のメッセージが掲載されていて、その冒頭ではギネスブックにも認定された世界一の発行部数を誇らしげに語っている。
〈読売新聞は、1874年、東京・虎ノ門の2階建ての小さな建物で創刊されました。関東大震災と終戦直前の空襲では、2度も社屋を失いましたが、戦後、全国に強固な販売店網を構築し、飛躍的な発展を遂げました。正確で迅速な報道と、中道で良識ある社説を掲げ、世界一の発行部数を誇る新聞社に成長し、1994年には1000万部を超え、日本を代表する新聞の座を確固たるものにしました〉
しかし、日本ABC協会によると読売新聞の23年7月度の部数は629万部。業界全体と同様に4割近く落ち込んだ。この厳しい状況下で渡辺の言う「強固な販売店網」に異変が起きている。
販売店に部数の「押し付け」
読売新聞は来年創刊150周年を迎える。この節目に何としても部数を守ろうと、読売新聞販売局の担当員が販売店に部数を押し付けていると読売関係者が明かす。
「東京本社では矢ヶ崎貢専務が部長クラスに部数をつくることを厳命しています。部長たちはこの先、局次長になれなければ関係会社に出向させられるので必死でしょう」
......続きはZAITEN12月号で。