ZAITEN2024年01月号
〝連続犯〟が一転〝お助けマン〟に変身
【特集】みずほ銀頭取・加藤「全銀システム大規模障害」の不作為
カテゴリ:事件・社会
1日平均14兆円もの取引を処理する日本金融の大動脈「全国銀行データ通信システム(全銀システム)」。このシステムが1973年の稼働以来、初めて大規模障害を起こしたのは、企業などの資金決済が集中する「五十日」の10月10日だった。直前のスポーツの日を含む3連休中に実施したシステムと各金融機関をつなぐRC(中継コンピューター)の更改時に不具合が発生、三菱UFJ銀行やりそな銀行など全国10の金融機関で他行宛ての送金や他行から着金ができなくなり、2日後の復旧までに500万件以上の取引に影響が出た。まさに「国民生活や経済活動を揺るがす深刻な事態」(金融庁幹部)で、原因究明はもちろん、関係者の責任も厳しく追及されなければならない。マスコミでは、システムを運営する一般社団法人「全国銀行資金決済ネットワーク(全銀ネット)」や、システムベンダーのNTTデータに批判が集中しているが、最大の元凶は金融業の生命線である全銀システムの運用を両社に丸投げしてきた全国銀行協会(全銀協)にある。 奇しくも現会長は2021年に自行で大規模システム障害を繰り返したみずほ銀行頭取の加藤勝彦(88年旧富士銀行入行)。子会社の全銀ネットで理事も務め、今回の障害の責任を負う立場にあるにもかかわらず、記者会見では「50年間トラブルがなかったことで過信があったのではないか」などとまるで評論家風情だ。全銀協プロパー出身の全銀ネット理事長、辻松雄に責任を一手に押し付けようとしているようにしか見えない。加盟行のRCの交換作業は年明け以降29年まで続き、27年には金融のデジタル化に対応した次期システム(第8次全銀システム)への刷新計画も控える。そんな大事な時に全銀協トップが保身に汲々とするようでは、先が思いやられる。
......続きはZAITEN1月号で。