ZAITEN2024年02月号
本誌取材後に斉藤社長は解任、谷田部副社長は辞任‼
【特集】エネオス「コンプラ崩壊」の惨状
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沖縄の高級クラブでのホステスに対する性暴力という前代未聞のスキャンダルで大手エネルギー企業、ENEOSホールディングス(エネオスHD)の「天皇」だった杉森務(1979年旧日本石油)がトップから転げ落ちて1年半足らず。社長の斉藤猛(86年同)ら経営陣は信頼回復に向けて再発防止を誓ったはずだが、社内は杉森シンパの役員が未だ跋扈し、パワハラやセクハラが横行する旧態依然の状況だ。「旧日石販売畑出身で、杉森の腰巾着に徹することで出世してきた」(中堅幹部)とされる斉藤には、良くも悪くも杉森のようなカリスマ性はなく、従業員約4万5000人を抱える巨大組織を統率する能力などそもそもない。そんな「名ばかりトップ」の下、同じく杉森に引き上げられた役員たちは好き放題に振舞うばかりだ。「天下の愚策」と言われる岸田文雄政権によるガソリン補助金のバラマキという〝特需〟もあって、足元の業績は2024年3月期の連結営業利益見通しを800億円も上方修正(前期比49%増の4200億円)するほどの好調ぶり。しかし、一皮むけば、社内のコンプライアンス(法令順守)体制が崩壊の一途をたどる目も当てられない状況となっている。
沖縄支店長を左遷
「杉森さんと会社はもはや一切関係がない。私の哲学に沿って脱炭素時代に向けたエネオスの第二の創業を推し進めていく」
子会社の石油元売り最大手、エネオス社長も兼務するHD社長の斉藤は周囲にこう嘯いているといい、最近は大手マスコミのインタビューにもたびたび登場。「エネルギー安定供給と脱炭素社会の実現に貢献していく」などと自己アピールに余念がない様子だ。
だが、そんな言葉とは裏腹に、22年8月のエネオスHD会長兼CEO(最高経営責任者)退任後も旧日石OB会「和敬会」の会合にせっせと参加するなど、意気軒昂な杉森の威光は今でも社内に隠然と残っており、「杉森体制時代から居座る多くの役員には斉藤を支えようという気持ちなんてさらさらない。求心力はゼロに等しい」(元役員)というから、歪な経営というしかない。
......続きはZAITEN2月号で。