ZAITEN2024年02月号
半導体進出で大コケの懸念
SBI北尾「令和の政商」に〝高転び〟の予感
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時の政権に巧みに取り入り、「令和の政商」の異名をほしいままにしてきた北尾吉孝が会長兼社長として率いるSBIホールディングス(HD)に〝高転び〟の気配が出ている。金融庁と結託した第二地銀の系列化や大手行の一角、旧新生銀行(現SBI新生銀行)の子会社化、再生可能エネルギー補助金をせしめるメガソーラー(大規模太陽光発電)プロジェクト、岸田文雄政権の「資産運用立国」構想に呼応した家計の金融資産取り込み、経済安保戦略に伴う経済産業省の巨額支援を目当てに進出した半導体事業......。国策に寄生する北尾流ビジネスは業界や市場関係者を驚かせてきた。 「稀代の錬金術師」ソフトバンクグループ(SBG)総帥の孫正義の金庫番から20年近く前に独立した北尾は、政治に接近することでSBIを急成長させ、今や連結売上高1兆円に迫るネット金融帝国を築き上げた。「金融を核に金融を超える」を合言葉に、事業拡大路線をひた走っているが、足元ではグループの急膨張に伴う綻びが覆い隠せなくなっている。
資本提携した第二地銀の中には経営危機に陥るところも出ているほか、太陽光ビジネスや主力のネット証券では不祥事が目立つ。北尾が「バブル崩壊後の負の遺産を解消する」とぶち上げたSBI新生銀行の公的資金完済シナリオも旧村上ファンド系の横やりで想定通りには進められなくなった。一方で、旧新生銀に対するTOB(株式公開買い付け)や半導体事業進出に伴う巨額の投資負担から今後はキャッシュフローの悪化も予想される。北尾の「進軍ラッパ」はいつまで続くか。
大株主に旧村上ファンド系
「どこで抜かったのか」。約3500億円の公的資金完済に向けて2度にわたるTOBを経てSBI新生銀行の非上場化にようやく漕ぎつけた2023年9月、関東財務局に提出された同行の主要株主に関わる資料を目にした北尾はこう唸ったという。シナリオでは、上場廃止後の同行の株主はSBIHDと、金融庁が事実上支配する政府系の預金保険機構、整理回収機構だけになるはずだった。
......続きはZAITEN2月号で。