ZAITEN2024年03月号
『俺たちはどう生きるか―現代ヤクザのカネ、女、辞め時』尾島正洋
【著者インタビュー】俺たちはどう生きるか
カテゴリ:インタビュー
『俺たちはどう生きるか―現代ヤクザのカネ、女、辞め時』
講談社α新書/900円+税
おじま・まさひろ―ノンフィクション作家。早稲田大学政治経済学部卒業。1992年、産経新聞社入社。主に社会部で事件取材を続け、警察庁記者クラブ、警視庁キャップ、神奈川県警キャップ、司法記者クラブなどを担当した。2019年退社。著書に『総会屋とバブル』(文春新書)、『山口組分裂の真相』(文藝春秋)。
―本書は現代に至るヤクザの変遷が描かれています。
戦後、警察はヤクザの主な資金源、いわゆるシノギについて、覚せい剤、恐喝、賭博、ノミ行為の4つを伝統的な資金源としてきました。1980年代の後半に入るとバブル景気で表の経済が潤います。すると同様に、裏の経済も隆盛を極めます。
その中心となったのは地上げです。当時、土地の価格が暴騰すると、ヤクザは不動産会社からの依頼で、戸建て住宅などが密集する地域の住民に立ち退きを迫りました。住民を立ち退かせて分散されていた土地を、ある程度まとまった形にすると価値が跳ね上がるからです。住宅1棟の土地が数千万円であっても、まとめあげた土地に商業ビルやオフィスビルを建てるとなると、50~100億円の価値に化ける。ヤクザは不動産会社から手数料として2%とかの報酬を得ます。50億円の土地なら1億円、100億円なら2億円の収入というわけです。
カネの動きに嗅覚が働くヤクザは、地上げで得た資金を元手に株式投資などでさらに巨大な収入を得ていきました。「暴力団対策法」や「暴力団排除条例」がまだなかった当時、不動産会社にとってヤクザはビジネスパートナーで、証券会社にとっては最高の顧客だったわけです。
......続きはZAITEN3月号で。