ZAITEN2024年03月号
池田清彦『自己家畜化する日本人』
池田清彦「決定的になった日本の凋落〝自己家畜化〟への提言」
カテゴリ:インタビュー
『自己家畜化する日本人』
祥伝社新書/¥920+税
いけだ・きよひこ―1947年、東京都生まれ。生物学者、評論家、理学博士。 主な著書に『構造主義進化論入門』(講談社学術文庫)、『SDGsの大嘘』(宝島社新書)など多数。
決定的になった日本の凋落憂国の生物学者〝自己家畜化〟への提言
安倍政権で国力低下
歴代最長を記録した安倍晋三政権で日本の国力は顕著に落ちました。それは政策が失敗したからではなく、安倍政権が〝意図的〟に国力を落としたからです。意図的でないと、わずか10年でここまで急激に落ちません。
1960年代から始まる高度経済成長期は工業化社会だったので、同じ製品をみんなで効率よく作るということが求められました。日本は経済大国になり、国民1人当たりのGDPも高かった。それが90年くらいまで続き、バブルがはじけてから日本経済は「失われた30年」の長期停滞に陥ります。日本は時代が変わってもそれまでのやり方を修正せず、成功体験を引きずり、「もっと横並び」「もっとみんなで効率よく」「もっと上の言うことを聞く」ことを今に至るまで続けています。
安倍政権も罪深いのですが、小泉純一郎政権も日本の国力を低下させた戦犯です。小泉政権の民営化路線に多くの人が賛成しましたが、蓋を開けてみると国民からむしり取って一部の大企業だけが儲かるような仕組みでした。
小泉政権で構造改革を進めた竹中平蔵さんはろくな事をしませんでした。「働き方の多様性」を叫んだものの、その実態は正社員を減らして非正規雇用を使い捨てにして給料を安くするということをしただけです。2000年くらいからの経済構造として、日本国民に物を売って儲けるというよりも、日本国民をなるべく安く働かせて、それで作った製品を海外に売ったり、インバウンドで儲けたりというシステムに変えました。大多数の日本人はそれでどんどん貧しくなり、一部の人たちだけが儲かる仕組みになりました。こうした施策で貧富の差が完全に開きました。
......続きはZAITEN3月号で。