ZAITEN2024年04月号
際立つトラブルメーカーぶり
富士通「英国郵便冤罪事件」にみる歴代トップ〝不作の系譜〟
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勘定系システムの欠陥で郵便局長ら736人が起訴され、236人が刑務所に収監、自殺者4人などを出した「英国史上最大の冤罪事件」。英国有企業ポストオフィス(PO)に当該システムを納入した富士通への批判が高まっている。みずほ銀行のシステム障害など富士通の信頼を揺るがす問題は国内でも頻発。背景には、四半世紀以上も縮小均衡に走ってきた迷走経営がちらつく。 補償金は最悪10億ポンド 未曾有の冤罪事件を引き起こしたシステムの名称は「ホライゾン」。富士通の英コンピューター子会社ICL(現富士通サービシーズ)が1996年に、当時の英郵政公社(ロイヤルメール)などから受注し99年に運用を開始。英国内には郵便局が約1万5000カ所ある。大半の局の窓口運営は「郵便局長」(サブポストマスター)の肩書を持つ個人事業主に委託され、郵便の受付や銀行機能などリテール業務を手がける。
ホライゾンがもたらしたのは、基幹システムの残高と郵便局の現金残高が合わない事例の急増だった。数字の食い違いをPOは郵便局長や職員の不正によるものと断定。00〜14年に736人が横領罪で起訴された。盗んでもいない大金の返済で破産したり、自殺に追い込まれた事例もある。
ホライゾンの開発費を含む英郵便関係の富士通の受注金額は96〜03年の当初8年間で総額10億㍀(約1880億円)、続く03〜10年には窓口システム運用・保守の一括受注で総額6億5000万㍀(約1220億円)に達した。同社は横領事件の異常な増加がホライゾンの導入時期と重なることに当然気づいていたはずだが、後述するように、当時の富士通は業績低迷が続き、収益優先でシステムの欠陥の事実を公表しなかった。
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