ZAITEN2024年04月号
『台湾有事 日本の選択』田岡俊次
【著者インタビュー】「台湾有事 日本の選択」
カテゴリ:インタビュー
台湾有事
日本の選択
朝日新聞出版/¥790+税
軍事ジャーナリスト田岡俊次
たおか・しゅんじ―1941年生まれ。64年早稲田大学政治経済学部卒業、朝日新聞入社。82年朝日新聞編集委員。著書に『アメリカ海軍の全貌』(教育社)、『北朝鮮・中国はどれだけ恐いか』(朝日新書)など。
―本書の執筆動機を教えてください。
中国との戦争が起こることが当たり前という雰囲気が今の日本に蔓延しています。日米中台すべての国に百害あって一利なしにもかかわらず、「台湾有事」を煽る報道を見て、冷静な議論の助けになればと本書を書きました。
習近平が「武力行使の権利を放棄しない」と発言すると、日本の一部のメディアは批判しますが、台湾が独立することになったら、中国が放っておかないのは当然です。日本の自衛隊も「治安出動」が自衛隊法で認められており、日本で反乱が起こった時に自衛隊を出動させることができます。
2023年2月頃、アメリカで中国の「偵察気球」が問題になりましたが、アメリカの軍事専門家は「気球では情報収集はできない」と当初から冷静でした。しかし、一部のメディアは「複数の軍事施設から情報を収集」と報道し、大騒ぎになりました。日本でも「防衛予算を取りたい」とか、「アメリカに足並みを揃えたい」という思惑から連日騒がれました。
日本は1972年の「日中共同声明」と78年の「日中平和友好条約」で中華人民共和国政府が唯一の中国の合法政府であると認めています。仮に中国と台湾で武力衝突が起こり、アメリカが介入したとしても「日中平和友好条約」がある以上、アメリカに協力することは条約違反になるので、不介入を貫くべきです。さもないと、ウクライナへ攻め込んでいるロシアに協力するベラルーシと同様になってしまいます。
......続きはZAITEN4月号で。