ZAITEN2024年06月号
【対談】佐高信の賛否両論
佐高信 vs. 倉重篤郎「自民党劣化の元凶は世襲政治にあり」
カテゴリ:インタビュー
くらしげ・あつろう 1953年東京都生まれ。政治記者。毎日新聞客員編集委員。78年毎日新聞入社。水戸・青森支局、整理部、政治部、経済部を経て、2004年政治部長。11年論説委員長。13年専門編集委員。著書に『日本の死に至る病』(河出書房新社)ほか。
佐高:先日、『日刊ゲンダイ』で竹中平蔵が裏金疑獄を擁護して、大炎上したという記事がありました。ネットメディア『MINKABU』で、政治家の5年1000万円不記載で、「過剰に騒ぐべきでない、全員が潔癖だと社会はなかなか成り立たない」と発言したそうです。
倉重:「過剰に騒がず、正常に騒ぎましょう」と逆に反応すればいいと思います。これは騒ぐほどの話です。基本的な法律違反をこれだけの多くの国会議員たちが長く、ひそかに続けてきたのですから。明るみに出た後も責任も取らないし、説明もしないというのだから価値のあるニュースであることは間違いない。
佐高:倉重さんは政治記者の経験が長いですが、自民党の劣化が進んでいると感じますか。
倉重:はい。幾つか原因はありますが、その一つは選挙制度です。小選挙区比例代表並立制になって、お金がかからなくなったのはよい点かもしれませんが、政治家を育てるという意味では、党内で政策の競争が減り、切磋琢磨する機会が減った。そして、個々の政治家が小粒になってしまった。
小選挙区制は、リクルート事件の時に政治改革の中心になったユートピア政治研究会が選挙制度改革論議をして、結果として現在の形になったところが大きい。石破茂や鳩山由紀夫元首相がメンバーで彼ら自身も世襲ですが、問題意識が「世襲議員の全面否定はできないが、民間にはもっと優れた人がいる。優秀な人材を政界にリクルートできるようなシステムにしないといけない」というところにあった。しかし、皮肉なことに、国民のためにならない形で世襲が居残ってしまった。
石破も「親と同じ選挙区からの出馬を一定期制限すべきではないか」と言っていました。また、今回の政治刷新本部会合でも世襲の問題をぜひ議論してほしいと発言していましたが、そういう議論にまだ至ってないです。
佐高:政治刷新本部に石破を入れないのですからね。
......続きはZAITEN6月号で。