ZAITEN2024年06月号
所詮は北尾SBIと旧村上ファンドを儲けさせるだけ
【特集】金融庁が「あおぞら銀行〝処理〟」で縋る「北尾SBI」
カテゴリ:企業・経済
「民間プレーヤー同A士の交渉に我々が口を差し挟むことはない。経営統合で銀行の財務体質や競争力が強化されるのなら結構なことではないか」
米国の商業不動産向け投融資で不良債権を膨らませ、2024年3月期に連結最終赤字に陥る、あおぞら銀行(旧日本債券信用銀行)。インターネット金融最大手、SBIグループ傘下のSBI新生銀行(旧日本長期信用銀行)との間で再編観測が浮上していることについて、金融庁幹部は評論家のような口ぶりながらも黙認する姿勢を示している。
米リーマン・ショック直後の09年3月期以来、15年ぶりの赤字に転落し、株主配当も見送るあおぞら銀の経営は、市場で「新たな金融危機の引き金になるのではないか」「早晩、公的資本による資本の再注入に追い込まれる」などと取り沙汰されるほど深刻化している。そんな中、SBI新生銀が救済の受け皿になってくれれば、当局にとって「渡りに船」(日銀幹部)と考えているのだろう。長官の栗田照久(1987年旧大蔵省)ら金融庁の首脳陣は両行の「統合協議」の行方を固唾を飲んで見守っている。
村上と北尾の「親密な関係」
再編観測がにわかに浮上したのは、元通産官僚の村上世彰が率いる旧村上ファンド系の投資会社、シティインデックスイレブンスと、村上の長女、野村絢が、あおぞら銀の事実上の筆頭株主(発行済み株式の8・92%)となったのがきっかけだ。シティは、あおぞら銀が赤字決算を発表した翌日の2月2日から200億円以上を投じて株式の爆買いを進めた。
この間、村上側は社長の谷川啓(当時、85年旧日本債券信用銀行)ら、あおぞら銀経営陣とオンラインで面談した。この場で村上は谷川にSBI新生銀行との経営統合をいきなり迫ったという。唐突な提案に谷川らは戸惑うばかりだったようだ。
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