ZAITEN2024年06月号
国民負担は膨張するばかりー
日本政策金融公庫「ゾンビ企業延命」の大罪
カテゴリ:企業・経済
税金や財政投融資資金を湯水のごとく突っ込んでゾンビ企業を延命させた挙句、国の支援策が終了した途端、事業再生支援の取り組みも疎かなまま、大量破綻を看過し、そのツケを国民に回す―。
2008年の米リーマン・ショック後の不況時にも見られた政策金融機関の悪弊が新型コロナウイルス禍の資金繰り支援策でも繰り返されようとしている。
最大の元凶はコロナ対応の実質無利子・無担保融資(通称ゼロゼロ融資)を17兆円近く(22年3月末実績)も貸し込んだ日本政策金融公庫(日本公庫)だ。会計検査院が公表した検査報告書によると、すでに約1兆円(商工組合中央金庫の融資分も含む)が回収不能か困難な不良債権になっているという。コロナ禍から3年以上が経ち、元本返済を迫られた貸付先企業の倒産が今後も続発し、融資の焦げ付きがさらに膨らむことが懸念される。
天下り官僚の田中一穂(1979年旧大蔵省、元財務事務次官)を総裁に戴き「時の政権の顔色ばかりうかがう」(メガバンク幹部)日本公庫。最近では岸田文雄政権がぶち上げた「10万社のスタートアップ創出」構想に飛びつき、創業向けの無担保・無保証融資に血道をあげているが、こちらも不良債権の山を築くだけに終わる懸念が拭えない。
「政策金融」を錦の御旗に融資でどれだけ損失を出しても国民が尻拭いしてくれると思っているとすれば、「親方日の丸」体質も極まれり、だ。
杜撰な融資審査
ゼロゼロ融資は、コロナ禍の消費者の外出控えや国の緊急事態宣言による行動制限で需要が蒸発した中小企業の資金繰りを支える目的で、20年3月に導入された特別貸付制度だ。
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