ZAITEN2024年06月号
今のままでは企業と投資家に大きな損失を与えかねない
議決権行使助言会社に存在意義なし
カテゴリ:事件・社会
近年、株主総会において影響力を高めているのが議決権行使助言会社だ。だが、助言会社による判断には、大きな疑問があり、また、いくつかの問題点も内包している。議決権行使助言会社は、簡単に言えば、株主の要請を受け、議決権の行使に対して助言を行う会社だ。日本では、GlassLewis(グラスルイス)とInstitutional Shareholder Services(ISS)の2社が中心的な役割を担っている。 2023年6月株主総会では、経営陣の選任議案に対して、不祥事を起こした企業や政策保有株式が純資産対比で20%以上保有する企業、自己資本利益率(ROE)が低い企業、社外取締役の比率が低い企業などに機関投資家からの多くの反対票が集まった。また、政府が目標を掲げている2030年に女性役員比率30%や気候変動対策の強化については、十分な対応ができていない企業は議案への反対票が多く、23年6月の株主総会では、気候変動対応策の開示等を定款に記載することを求める株主提案が12社に対して行われた。
議決権行使助言会社では、助言方針に対する基準を設けており、公表している。この基準は、ROEなど業績や財務、配当基準に関するものや、社外取締役比率、女性役員比率、あるいは気候変動対策に対する取り組み姿勢も対象となっている。一例をあげると、キヤノンの株主総会で取締役候補者への賛成助言を行った理由についての本誌の取材に対して、グラスルイスは、「女性の取締役候補者1名が含まれており、性別の多様性に関する弊社の方針を満たし、他の点においても懸念がないため、候補者全員に対して、賛成助言をした」と回答している。
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