ZAITEN2024年06月号
月刊ゴルフ場批評80
「佐倉カントリー倶楽部」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
千葉県佐倉市にある「佐倉カントリー倶楽部」といえば、京成電鉄が運営する1968年開場の老舗コース。キャッチフレーズは「千葉県で一番駅から近いゴルフ場」。 京成本線京成佐倉駅から500㍍、徒歩5分は確かに近い。ただ、クラブハウスまでの最後の上り坂がキツイ。健脚じゃないと徒歩5分は厳しいだろう。
とはいえ、首都圏で駅から徒歩圏内にあるゴルフ場は貴重。千葉県で他に思い当たるのは、同じく京成沿線の「鷹之台カンツリー倶楽部」くらいだ。車でのアクセスも格別。渋滞の少ない道路として有名な東関東道沿いだから、ゴルファーに重宝されるのも分かる。
前身はパブリックの「京成佐倉ゴルフ場」。76年からはメンバーシップ制となっているが、開場から50年以上を経ていて、ハウスなどの施設はくたびれている。
玄関にはポーターのおじさんが2人もいたが、朝の挨拶をしてくれたのかどうか、よく分からなかった。もしかすると、ゴルフ場とともに人生を歩み、年齢を重ねて疲れているのかもしれない。
ハウス周りには年月を経た老松の梢が聳え、それなりの風格も感じさせるが、すれ違うゴルファーは年配ばかり。落ち着きがあるといえば聞こえはいいが、いささか寂しい気分になる。
地味なのはコースも同じだ。
徒歩圏ではなく、どちらも駅からバスで住宅街に囲まれているコースといえば、相模カンツリー倶楽部(神奈川県)や小金井カントリー倶楽部(東京都)などが思い浮かぶ。住宅地の街並みや人々の日常を横目に、ゴルフ場という非日常の場にいる優越感みたいなものがあるものだが、ここは街中の景色があまり見えないせいか、高揚感もない。ときおりガタゴト聞こえる京成電車の走行音が、微かに街中を感じさせる程度だ。
コース自体の話に移ろう。あまり土を動かさず、元の地形を生かした昔ながらのスタイル。広々としたホールもあるが、多くはドッグレッグやアップダウンなど変化に富んでいる。ブラインドホールも多く、初見ではカートナビとにらめっこになるかもしれない。距離も短めで、飛ばし屋は突き抜けOBに要注意だ。
グリーンも昭和レトロで、コンパクトなコーライとベントの2グリーン。グリーンの状態はまずまずだったが、気になったのはフェアウエーの芝。ところどころ土が剥き出しになっていて、修理地の杭が目立つ。昨夏の酷暑でやられてしまったそうだが、ここまで黒っぽいフェアウエーに向かって打つのはしんどい。
レストランも至って地味。アルコールの種類が豊富なのはいいが、クオリティは街の食堂並みといったところか。オムライスなのに中が白米はちょっと悲しい。
これで1万円そこそこの料金なら許せるが、平日でも1万7000円代と強気料金。駅近でも築50年の中古マンションなら、リフォームしなければ借り手は限られる。古参メンバーは文句を言わないのだろうが、ハウスもコースも手を入れたほうがいいんじゃないか? せっかくの好物件、住宅街に変わらぬよう願う。
●所在地 千葉県佐倉市飯田1000 ●TEL. 043-485-0311 ●開場 1968(昭和43)年12月7日 ●設計者 富澤誠造 ●ヤーデージ 18ホール、6673ヤード、パー72