ZAITEN2024年07月号
【対談】佐高信の賛否両論
佐高信 vs. 田村智子「ズル賢い自民党と正論で対峙する」
カテゴリ:インタビュー
たむら ・ともこ 1965年、長野県小諸市生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。参議院議員。1995年より8年間、日本共産党国会議員団事務局に勤務。2024年、日本共産党委員長に就任。
佐高:田村さんが入党するだいぶ前の話にはなりますが、創価学会と日本共産党との間で調印された「創共協定」を共産党は10年間守りますが、創価学会はいきなり破っています。創価学会は破っているのに、共産党はどうして守るのかと私は思いましたが、田村さんはどのように考えていますか。
田村:私たちの党は、相手より大局的に物事を捉えていたと思っています。相手が約束不履行をした場合、こちら側は約束を守ってきたという立場から厳しく批判ができるので、約束不履行を自らはやりません。
佐高:大局観に加えて、自分たちが悪い人じゃないから、向こうは約束破らないだろうという気持ちもありますか。
田村:疑いを持ち「どうなってるんだ」というのはありつつも、こちらから破るかと言ったら破りませんし、筋を通すという立場を貫きます。
佐高:「あの時、もうちょっと攻められていたら公明党はなかったかもしれない」と池田大作本人が言っていましたが、本来なら共産党に行くべき人たちが創価学会に絡め取られていた状況を変えていこうという意味で、創共協定は重要なものだったと思います。
田村:政治と宗教の分離が大本になければ成り立たない協定ですよね。創価学会で活動をされている方で、核兵器禁止条約を一生懸命推奨している姿を見ても、平和への思いや社会保障を良くしてほしいという暮らしへの思いなどで重なるところがあると私も思います。しかし、協力し合うという時に「宗教に対する信心」と「どこの政党を支持するか」を区別して、政党支持の自由は保障されるべきです。そうでないと、その思いは生きてこない。
佐高:「信仰する自由」は、当然「信仰しない自由」を含まなければ駄目なわけですが、彼らにはそれはないですよね。すごく難しい話ですし、田村さんに「もっと悪人になりなさい」と言いたいわけではありませんが、相手のあくどさに対する想像力は必要です。就任して半年ほどですが、中央委員会幹部会委員長になってどうですか。
田村:佐高先生の本を読んで、少し想像力を付けないといけないですね(笑)。
今までは国会ベースで戦っていましたので、いかに論戦をやるかというところが活動の主軸でした。党という組織をつくっていくということは、今までとまったく違う苦労があります。党がどういう路線を取るのかという戦略的な部分も考えなければなりません。さまざまな困難もありますが、私たちは野党共闘を諦めていません。いろんな苦労もあるし、検討しなければいけないこともありますが、大きな仕事からくる責任の重さと、やりがいの両方を感じています。
佐高:田村さんはご自分のことを「楽観主義的」なところもあると思いますか。
田村:あります(笑)。これまでの委員長は歴史上の人物ですから、楽観的にならないと務まらない部分もあるのかもしれません。私たちは1961年に今日につながる党綱領を決定しました。議論を重ねた末に作り上げたので、党として考えが一致しているというのは、大きな支えになり、今日に活きています。もちろん、その時々の苦労はありますが。
......続きはZAITEN7月号で。