ZAITEN2024年07月号
きらやか銀行、八十二銀行、いよぎんHD……
【特集2】アクティビストが狙う「全国地銀銘柄」
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日銀のマイナス金利政策の解除をきっかけに「金利のある世界」が戻れば、貸出金利の上昇で銀行は儲かる商売になると期待されている。だが、あくまでメガバンクなど有力行に限った話。多くのゾンビ企業を貸出先に抱える弱小地銀では、金利上昇がこれらの企業の倒産多発の引き金となり、儲けるどころか不良債権塗れになりかねない窮地に立たされている。一方、地域一番行の座に長らく胡坐をかき、資本効率を度外視した「殿様経営」を続けてきた有力地銀は〝モノ言うファンド〟から標的にされ、構造改革を突き付けられている。頭取ら経営陣は右往左往するばかり。6月の株主総会は波乱含みの様相を呈している。
「国有化」のじもとHD
「グループとして赤字決算、無配となり、株主や取引先の皆様に大変ご心配とご迷惑をかけたことを深くお詫びしたい」
2024年3月期に234億円の連結最終赤字を計上した東北の地銀グループ、「じもとホールディングス(HD)」(本社・仙台市)。鈴木隆社長は記者会見でこう首を垂れた。だが、公的資金注入行である同グループは無配に伴い、国が保有する優先株に議決権が発生し、6月下旬にも事実上、国有化されるだけに事は重大だ。
「地元の株主に合わせる顔もない」(関係筋)という中、前出の社長の鈴木は会長の川越浩司とともに辞任して責任を取るというが、国が議決権比率の6割以上を握る中、今後は金融庁が人事や経営に強烈に関与する「当局管理銀行」となる運命。行員や取引先企業が不安を膨らませていることは想像に難くない。
じもとHDは山形県が地盤であるきらやか銀行と、宮城県に本店を置く仙台銀行が12年10月に経営統合して発足した。
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