ZAITEN2024年07月号
月刊ゴルフ場批評81
「花生カントリークラブ」批評
カテゴリ:月刊ゴルフ場批評
今回は千葉県の「花生カントリークラブ」だが、房総半島のど真ん中だけにアクセスに難がある。 圏央自動車道木更津東インターから下道で30㌔。峠を何度も越える山道を、ひたすら走り続ける。運転が好きな人なら楽しいかもしれないが、途中コンビニもわずかしかないから結構シンドイ
養老渓谷の温泉郷などを通り抜け、1時間はかかってようやく到着。ナビを見たら、あと20分も走れば外房の海に出る。思えば遠くへ来たもんだ。
玄関にポーターは不在で、カートに積むまでセルフスタイルの案内があったが、この日はカートに運んでくれていたな。
元日東興業系列とあって、施設は充実。クラブハウスは天井が高く、フロント周りやレストラン、ロッカーへの導線も広くとってあって使い勝手はよさそうだ。
この日は予定がポッカリ空いて、急遽、午後スループランを利用。昼すぎの到着だったが、レギュラータイムのハーフターンで次々とゴルファーが上がってくる。客層は40代くらいがメインで女性も多く、とても活気に満ち溢れている。
一歩外に出ると眼前に池が広がり、ちょっとした庭園風。日東興業時代の趣が残されている上、練習グリーンやアプローチグリーンも整備されているな。
午後スルーといえば通常枠の最終スタートの後ろにつくため、予約した時間より遅れることが多いが、この日はほぼオンタイム
1番ティに立つと、フェアウエーは広々としていて、左右の樹々もあまり高くないから、空が大きく開けて開放感一杯だ。 グリーンまではダラダラとした打ち上げだが、山道ばかり通ってきた身としては、このくらいの上り傾斜はフラットな範疇(笑)。
打ち上げだけにディボット跡はまずまず目立つが、芝つき自体は良好といえるだろう。 驚いたのはグリーンだ。大きなワングリーンだが芝目が詰まっているうえ、スピード、硬さともまずまずで、雨上がりだったのにあまりボールマークがつかない。アコーディアの最高峰、習志野CCと変わらないレベルじゃないか。
その後のホールもティショットでストレスを感じるホールは少ない。「水の魔術師」と謳われた名設計家・小林光昭が手掛けたコースとあって、池と白いバンカーのコントラストが美しい。
後半に入って池絡みのホールが増してくるが、やっかいなのは名物15番パー5ぐらい。ティショット、セカンドとも右サイドから池が絡み、油断すると二度も三度も池ポチャの洗礼を受ける。
残念だったのはレストランのセルフ方式。ドライブインのように、料理の上げ下げまでセルフというスタイルなのだ。
落ち着いた雰囲気のレストランなのに、フードコートのように常に人が歩き回っている感じは、ちょっといただけない。
そのぶん料金設定はかなりリーズナブルだから、これくらいは仕方ないか。〝A系列〟とあって期待しないで来たら、掘り出しものに遭遇。さて、1時間かけて下道を走って帰るとするか......。
●所在地 千葉県夷隅郡大多喜町平沢字鍵坂1523-18 ●TEL. 0470-83-1111 ●開場 1992(平成4)年11月23日 ●設計者 小林光昭 ●ヤーデージ 18ホール、6858ヤード、パー72