ZAITEN2024年07月号
契約違反の道路工事「再生材」使用
NIPPOの「ガバナンス崩壊」はENEOS譲り
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談合・カルテル事件の頻発で「コーポレートガバナンス(企業統治)の墓場」と呼ばれた道路舗装業界。最大手NIPPOにまた不祥事が発覚した。国土交通省や高速道路会社が発注した工事で指定と異なる「再生アスファルト合材」の使用が判明。同社は2年前にENEOSホールディングス(HD)と米ゴールドマン・サックス(GS)の合弁会社の100%子会社となったが、風通しが良くなるどころか「社員の士気低下が深刻」(関係者)。歴代トップがセクハラで連続辞任した親会社ENEOSと同様、ガバナンス不全に拍車が掛かっている。
問題になったのは、NIPPOが国交省や東日本高速道路(NEXCO東日本)、中日本高速道路(NEXCO中日本)から2022年度以降に受注した東北自動車道や横浜横須賀道路などの工事で計21件。本来「新品」のアスファルト合材が指定されていたが、実際は再生骨材を含んだアスファルト合材が使われていた。
関係者によると、今年2月26日頃、「再生骨材を配合し製造したアスファルト合材を子会社が新規仕様合材と偽って出荷しているのではないか」という内部告発とみられる「通報」がNIPPOにあった。同社は同29日以降に調査を始め、「通報」通り、再生骨材入りのアスファルト合材を新品と偽って工事に使用していた事実が確認された。
報道が手薄な週末発表の狡猾
道路舗装にはアスファルトのほか、コンクリートやインターロッキング(IL)ブロックを使う例があるが、工事が短期間で済み、安価なアスファルト合材によるものが国道や都道府県道など幹線道路舗装の9割以上を占める。骨材として砕石や砂などを混ぜ合わせたアスファルト合材はNIPPOなど道路舗装会社が自ら製造しているケースが大半。最近は使用済みのアスファルト廃材を骨材として混ぜ合わせる「再生アスファルト合材」が注目され、合材製造量全体の7割強に達しているが、低コストかつ廃棄物抑制というメリットがある半面、異物混入や耐久性低下などの欠点を併せ持つ。
......続きはZAITEN7月号で。