ZAITEN2024年07月号

「ターゲティング派」が跳梁跋扈する経産省

経産省「経済安保とGX」で放漫財政の噴飯

カテゴリ:企業・経済

「経済安全保障」や「GX(グリーントランスフォーメーション)」を錦の御旗に、経済産業省が半導体企業をはじめとした産業界に血税をバラまいている。 「頭のいい自分たちが愚かな民間企業経営者を先導してやらなければ、日本の産業競争力は回復しない」。こんな歪んだエリート意識に駆られたターゲティング派官僚たちが「令和の産業統制」とも言うべき国策プロジェクトを推し進め、日本の産業界を意のままに動かそうと企んでいる。「俺たちの理想を実現するには予算がまだまだ足りない」(中枢幹部)と嘯くが、プロジェクトの中には実現性が乏しいものも多く、国民に巨額負担のツケが回ることが懸念される。

「1兆円レベル」の
公的資金を惜しみなく投入

「今後10年間で官民合わせて5兆円を投資して、次世代航空機を2035年めどに開発する」。経産省製造産業局が3月下旬、新たな「航空機産業戦略」をぶち上げると、霞が関や市場、産業界はドン引きした。「YS―11以来、約40年ぶりの日の丸旅客機プロジェクト」を謳う経産省の甘言に乗せられた三菱重工業が約1兆円の資金を投じた末、ジェット旅客機「三菱スペースジェット(旧MRJ)」の開発を断念してからわずか1年余り。国の出資金500億円も毀損させたにもかかわらず、性懲りもなく無謀な国策を再び進めようとする経産省の姿勢が信じ難かったからだ。

「常軌を逸している」(霞が関の経済官庁幹部)との反応さえあったが、製造産業局長の伊吹英明(1991年旧通商産業省)ら経産省の自称「秀才官僚」たちの頭の中の回路は異なるようだ。旧MRJ失敗の要因を「(三菱重工)1社単独開発の限界」と「政府支援の不足」とことさらに矮小化。「(MSJの)チャレンジで得られた知見、経験を活かし、下請けの部品づくりに甘んじている日本の航空機産業を完成機もつくれる欧米並みの基幹産業に引き上げるのが我々の使命だ」などと自分勝手な主張を繰り広げている。

......続きはZAITEN7月号で。

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