ZAITEN2024年08月号
【連載】井川意高の時事コラム「どの口が言う‼」 第10回
井川意高の時事コラム『どの口が言う‼』10「東京都知事選は都民に対する罰ゲームだ」
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今月のお題は「東京都知事選」。編集部からは「株主総会」と提案があったけど却下。だって、この号が発売される頃には総会集中日は過ぎてるし。7月7日投開票の都知事選は、一番盛り上がっている頃でしょ。6月号では小池都知事について書いたが、今月は蓮舫その他の候補について。
まずは、蓮舫候補。結論からいうと彼女の当選はないでしょう。むしろ彼女の立候補は小池知事の当選を盤石にしたのではないか。小池知事の熱烈な支持層はなんといっても主婦層オバサン層である。彼女の公約なんかどうでもよく「ステイホーム」や「三密」とかの言葉のマジックになんとなく惹かれる人たち。小池知事を厚化粧なんて旦那がいうと「厚化粧の何が悪いの!」と逆上する方々である。でも、旦那たちは小池知事をなんとなく胡散臭く感じ、権力欲以外は中身空っぽだということを嫌っていたのだが、蓮舫と比べてみなさい!
熱烈な立憲支持者と共産党員以外に「ソビエト蓮舫」に投票したいと思う人います? 自らの二重国籍問題はうやむやに、他人の批判には舌鋒鋭い「カミツキガメ」。でもすぐにブーメランで自分に跳ね返ってくる。主婦層オバサン層にも蓮舫はウケが良くないのでは?
そしてなにより、私もそうなのだが小池知事にうんざりしていて今回替わって欲しいと思っていたオジサンたちも「ソビエト蓮舫が知事になるくらいなら緑のタヌキの方がマシ」とばかりに小池知事に一票入れるのではないか(私は入れないけど)。つまり、「蓮舫だけはイヤだ層」が小池再選を盤石にするというのが私の見立てである。
次なる私の標的、いや候補者は石丸伸二候補。一部SNS界隈では異様に盛り上がっているようだが、私の最初の反応は「誰? それ」である。調べてみると安芸高田市の前市長。なにやら地元紙の記者とバトルしてみたり、居眠りしている市議をネットで晒して罵倒したりして有名になったらしい。でもね、人口2万6千人くらいの田舎自治体の首長を、1期どころか大した実績もなく途中で投げ出して都知事に立候補ですか。これを日本語では身の程知らずという。しかも立候補表明時には「東京一極集中を正す」だってさ。あのね、あなたは都知事になろうっていうのに都民以外のこと考えてるわけ? これって企業の社長が「うちは儲けすぎてますので、同業他社にも利益がいきわたる経営をします!」と株主総会で言うようなものじゃないですか? まあ、その後「多摩格差の是正」なんて意味不明な公約に置き換えていたが、これってオレが「X」で上記批判をしたことを、ホリエモンと彼の対談で指摘されて修正したんじゃないか?
字数も限られてるのであとは駆け足。
田母神俊雄候補。なんで今頃? というのが正直な感想。当選しないことはご本人も解ってるだろうから、何故? としか言いようがない。ドクター・中松候補。95歳でまたまた立候補。もはやこの人にとって都知事選立候補はライフワークなのでしょう。NHK党。最大24名の候補者を立てると立花党首が宣言。立花氏って物凄く頭が切れて、特に数字に強い人で、今回の候補者24人作戦はビジネスだと嘯いている。でも、ある意味これは現状の都知事選、ひいては国政選挙に対する強烈な皮肉ではないか? どうせどの候補も大差ない一山いくらの籠の蜜柑のようなもの、てか?
今回の都知事選候補者たちを眺めて「これってなんの罰ゲーム?」と呟いたら、若いスタッフに「いや、都民に対する天罰でしょ」と言われてしまった。