ZAITEN2024年08月号
〝変異〟を続けて発生する犯罪は 手段の高度化でより一層複雑化していく
「TABLO」編集長 久田将義「特殊詐欺と連続強盗 変異する組織と手口」
カテゴリ:インタビュー
『特殊詐欺と連続強盗 変異する組織と手口』
(文春新書)/¥950+税
ひさだ・まさよし―1967年、東京都世田谷区生まれ、神奈川県横浜市育ち。『実話ナックルズ』編集長を経て、月刊誌『選択』『週刊朝日』編集部に在籍。著書に『生身の暴力論』(講談社現代新書)など。
フィリピンを拠点とした特殊詐欺グループの「ルフィ事件」を振り返ると、平成に起こったヤミ金融事件の「五菱会事件」に萌芽を見ることができます。特殊詐欺は突然私たちの前に現れたわけではなく、ウイルスのように〝変異〟を重ねて、発生しています。『特殊詐欺と連続強盗 変異する組織と手口』(文春新書)では、現代日本の犯罪シーンを象徴する特殊詐欺はそもそもどうやって生まれたのかというところを書きました。そして詐欺集団がなぜ、連続強盗をするにいたったのか、強盗殺人をするまでにいたったのか。それは、原点を探らなければ見えてきません。
犯罪者は一番合理的に大儲けをできる方法を常に考えていて、共通するのは法律を無視することです。何らかの犯罪が発生すると警察が規制しますが、当然、警察は常に追いかける立場です。もちろん暴対法(暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律)のように、ある特定の犯罪を規制しながら違う犯罪もできないようにしようということをやっていますが、犯罪者の側は常に抜け道を探しています。日本経済がデフレかインフレかどうかの「景気」、どういった犯罪に「規制」が敷かれているか、どんな「ツール」で行われているかの3つに着目すると、犯罪がどの方向へ向かっていくか知ることができます。この3つの要素で近年特に注目すべきは、手段の高度化です。
ITツールの発展
一般社会に生きる私たちもスマホなどIT機器の発達で便利な生活を享受していますが、IT機器を活かしているのは犯罪者も同じです。
......続きはZAITEN8月号で。