ZAITEN2024年09月号

「裸の王様」会長と「忖度」を重ねる取り巻きたち

【特集】テレビ朝日「早河会長への忖度」で〝粉飾決算〟疑惑

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「荒廃」のメディア
老害取締役で腐敗するテレビ局、ガバナンス崩壊の新聞、出版社...

「王様は裸だよ!」
 こう叫んだ無垢な少年の一言で人々は真実に目覚める。それでも、王様のパレードは続く―。
 アンデルセン童話『裸の王様』に登場する〝王様〟は、現代の企業社会にも存在する。  

 テレビ朝日ホールディングス(HD)と、その子会社であるテレビ朝日の代表取締役会長である早河洋(80)。2009年にプロパーとして初めてテレ朝社長に就任して以来、15年間の長きにわたり、トップに君臨している。創業者でもないのに、なぜ、かほどの長期独裁が可能なのか。

 テレビ朝日の中堅社員は語る。
「昔は、社長が70歳、会長は72歳が定年でした。歴代の朝日新聞出身の社長たちは、その内規に従っていました。ところが早河が社長になってから、ルールを変えたのです。その結果、長期政権になるにつれ、何でも会長にお伺いを立てる風潮が社内に蔓延し、権限が集中しました。役員や局長だけでなく、その他の幹部人事・出向人事の決定権も握っています」

 最高指導者が地位を守るためにルールを変更してしまう話は独裁国家の出来事としてはあるが、公共性が高い報道機関であるテレビ朝日で、そんなことが実行されていることは由々しき事態である。これではロシアや中国の長期独裁政権について、批判的な報道をする資格はないだろう。  

 現在のテレ朝のあり方を問題視する前出とは別の社員は語る。 「社内では『さすがに老害だ』と早河会長の退任を密かに期待する声は多いです。そして、それは『2年後ではないか』という意見も聞かれます」

 東京・有明の約1万2900平米の敷地に現在建設中のエンタテインメント施設が「東京ドリームパーク(TDP)」である。同事業は早河の肝煎りの一大プロジェクトとして知られる。  

 TDPは26年春に開業予定で、「これを花道に早河は退任するのではないか」「退任して欲しい」という憶測や期待が社内で交錯していると言う。  

 国民のテレビ離れは顕著で、TDPは放送以外の事業を展開しようという経営戦略だが、同プロジェクトにかかわった社員からは溜息が漏れる。 「〝ドリーム〟とは名ばかりで、社員の誰ひとりとして夢を抱いていません。集客はまったく期待できず、負の遺産になることは確定的。昨今の建築費や人件費の高騰もあり、『今すぐに土地と建物を売却した方が被害は少ない』という意見が支配的です」

 また、重要な施設の1つである劇場(1500席)は旧ジャニーズ事務所のタレントをあてにしていたが、ジャニー喜多川による性加害問題の影響で当初の目論見通りにいかないのは確実である。  

 同劇場のほかに多目的ホール(3700席)、展覧会場を想定したイベントスペースなど、立派な「ハコ」が出来上がる予定であるが、社員たちの雰囲気からすると閑古鳥が鳴く予感しかない。

......続きはZAITEN9月号で。


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